大量の販売データや顧客データを取り扱う企業のなかには、「社内データ管理って今すぐやったほうがいいの?」という疑問を抱いている人もいるでしょう。
そもそも社内データ管理とは、データを使用するために「収集・整理・保管」をすることで、下記のような作業をさします。
データの収集 | 顧客データ、販売データなど目的に沿ったデータを収集する |
データの整理 | 収集したデータを検索しやすい状態に整える |
データの保管 | セキュリティ対策を施した状態でデータを保管する |
データの使用 | データを使用・分析して、経営や営業活動に役立てる |
社内データ管理を行うことで以下のようなメリットがあるため、
以下のような企業は、今すぐ社内データ管理を行うべきである、といえるでしょう。
今すぐ社内データ管理を行うべき企業の特徴 |
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そこでこの記事では、以下の内容について解説していきます。
この記事を読むとわかること |
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この章では、社内データ管理に含まれる作業内容
●収集
●整理
●保管
●データの使用
について、それぞれ解説します。
目次
1. 社内データ管理とは|データを使用するために「収集・整理・保管」すること
社内のデータ管理を検討している人なかには、データ管理を以下のような簡単な作業だとイメージしている人もいるかもしれません。
● データを収集して保存しておくだけ
● 契約書や注文書のデータを表にするだけ など
しかし一口に社内データ管理といってもその作業内容は幅広く、以下のような作業が含まれます。
この章では、社内データ管理に含まれる作業内容
●収集
●整理
●保管
●データの使用
について、それぞれ解説します。
1-1. 目的に沿ったデータを収集する
社内データ管理は、データを保管する工程ではなく、企業にとって必要なデータを収集する工程から始まります。
収集するデータは、以下のようにあらかじめ設定した目的に沿ったデータに限定します。
目的 | 収集するべきデータの例 |
労務管理を効率化したい |
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営業活動を効率化したい |
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顧客データを管理したい |
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自社製品の商品分析をしたい |
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各データの必要性を意識せず、やみくもにデータを収集すると、
●無駄な作業の増加
●保管コストの増加
につながります。
社内のデータ管理を効率よく行うためには、「何のためにデータを収集するのか」目的を明確にすることが重要です。
1-2. データを整理して検索しやすい状態にする
社内データ管理におけるデータの整理とは、必要なときに必要なデータを探し出せるように整えることを指します。
具体的には、
●検索性が高く、担当者以外でも速やかに必要な情報を検索できる
●常に最新のデータが閲覧できる
●必要なときに過去のデータを閲覧できる
●関連情報同士が紐づいており、情報を参照できる
●不要なデータをすぐに発見し、削除できる
などの状態に整えることです。
後述する工程「1-4. 収集したデータを使用して、経営や営業活動に役立てる」のためにも、データの整理は非常に重要な工程です。
1-3. セキュリティ対策を施した状態でデータを保管する
社内データ管理で収集した情報は、機密性の高い情報であることがほとんどなため、十分なセキュリティ対策が必要です。
パソコン上に保存された情報は、常に
●ハッキング
●不正アクセス
●ウイルス感染
などによる、情報漏洩のリスクがあります。
特に顧客情報・個人情報の漏洩は、
●顧客・消費者からの損害賠償を請求される
●営業機会の損失
●社会的信用の低下
●情報漏洩に関する問い合わせ対応
など、企業にとって大きな損失につながります。
上記のようなリスクを回避するためには、より安全性の高い社内データ管理体制を整えることが必須といえるでしょう。
1-4. 収集したデータを使用して、経営や営業活動に役立てる
社内データ管理で収集・整理・保管したデータは、データ分析を行い、経営判断や営業活動の材料として活用します。
社内データ管理において最も重要なポイントは、管理したデータをどう活用するか、という点です。
社内データ管理の目的は「データを活用すること」です。
ただデータを収集して整理しただけでは、コストに見合う効果は生まれません。
収集・整理したデータをもとに、
●無駄のない在庫管理を行う
●商品の購買傾向を読み取り、商品開発に生かす
●顧客行動を分析し、新しいサービスをリリースする
●営業成績を分析し、営業力の底上げを図る
など、経営や営業活動に役立てる必要があります。
データを活用した経営判断は、企業の現状を正確に把握できるなど、多くのメリットがあります。
詳しくは、次章「2. 社内データ管理を行うメリット4つ」で解説しているため、ぜひご覧ください。
2. 社内データ管理を行うメリット4つ
社内データ管理とは何かについて理解したところで、「そもそもデータ管理は必要なの?」と疑問を感じている人もいるかと思います。
前述の通り、社内でのデータ管理を行うと、以下のようなメリットがあります。
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上記のメリットを得たい企業は、社内のデータ管理が必要だといえるでしょう。この章では、それぞれのメリットについて詳しく解説していきます。
2-1. 主観的・感覚的な意思決定から脱却できる
社内データ管理を行うことで、データに基づくロジカルな状況分析ができるようになり、主観的・感覚的な意思決定から脱却できます。
根拠のない思い付きによる意思決定は、周囲を混乱させます。
また施策が失敗してしまったときも、失敗の原因を探ることができず、その後の業務や経営に生かすことができません。
対してデータ管理を正しく行い、データに基づいた論理的な意思決定ができると、施策に根拠が生まれるため周囲も納得・行動しやすくなります。
さらに、万が一施策が失敗してしまったとしても、前回のデータと突き合わせて失敗の理由を検討・分析することで新たな発見ができます。
データ管理を行っていないケース |
データ管理を行っているケース |
2-2. 業務効率の向上につながる
社内データ管理を行うことで必要なデータをすぐに見つけたり、利用したりできるようになり、業務効率が向上します。
例えば、過去3年間の売上を調べ今期の人気商品を予測、売れそうな商品を仕入れる業務があるとしましょう。
社内のデータ管理を行っていないケースでは、3年間分の売上を記した帳簿や伝票を調べる必要があり、リサーチ業務で数時間が必要となる可能性があります。
しかし、社内データ管理を正しく行っているケースでは、期間を指定するだけで容易に過去データにアクセスできます。
データ管理を行っていないケース |
データ管理を行っているケース |
2-3. 競合優位性が高まる
社内データ管理を正しく行い、業務効率を上げることで、競合優位性を高めることが可能です。
前述の通り、社内データ管理は業務効率の向上につながります。
大手ソフトウエア開発会社による調査では、人はデータを検索するために1日あたり約1.6時間浪費しており、業務効率が低下している事がわかっています。
つまり、社内データ管理を行いすぐにデータにアクセスできる状態を維持しておけば、サービスの改善や商品開発といった主業務に、他社より早く取り組むことができます。
データ管理を行っていないケース |
データ管理を行っているケース |
2-4. ストレージコストが減少する
社内データ管理を正しく行うことで、データの保管に必要なコストを減少させることができます。
データ管理を行っていないケースでは、不要なファイルの判別がつかないため、データの整理ができず、時間が経つほどファイル量が増えてしまいます。
その結果、データの保存に必要なストレージ容量が増加し、管理コストや費用も増加してしまいます。
対して社内データ管理では、収集・保管するデータの種類や保管期限に関するルールを設定します。
必要なデータを必要な分だけ残し、不要なデータを削除することで、時間が経っても必要なストレージ容量が大きく増加することはなく、コストの増加を抑えられます。
データ管理を行っていないケース |
データ管理を行っているケース |
3. 社内データ管理を行うデメリット2つ
社内データ管理を行うかどうか判断するためには、メリットだけではなく、デメリットについても理解しておきたいですよね。
社内のデータ管理を導入するデメリットには、以下のようなものがあります。
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ここからは、それぞれのデメリットについて詳しく解説していきます。
3-1. 導入時のデータ収集に時間がかかる
データが散在している状態から社内データ管理を始めるためには、膨大なデータを入力する必要があり、導入までに時間がかかります。
またデータを入力するためには
- 重複しているデータを統合したり
- 表記ゆれを修正したり
するなど、データ自体を整理する必要もあります。
社内データ管理の導入に時間をかけすぎると、作業工数が増え導入コストが増加する・社員の関心が低下しデータの活用に至らないなど、導入失敗の要因となります。
そのため、社内データ管理を始めるときには、
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など、できるだけ短時間で導入できる工夫が必要です。
3-2. システム使用料などのコストがかかる
データ管理ツールなどを利用して社内データ管理を行う場合、システム使用料などのコストがかかります。
社内データ管理では、専用ツールを活用してデータ管理を行うことが一般的です。
この専用ツールは、
- ツール利用量
- システム使用料
- サーバー利用量
など、ツールによって異なる様々な費用がかかります。
データ管理で得られるメリットは、業務効率や競合優位性など、数字でわかりやすい基準ではありません。
そのため、費用対効果を実感しづらく、逆にコストの負担を実感しやすいといえるでしょう。
4. 今すぐ社内のデータ管理をするべき企業の特徴2つ
社内データ管理のメリット・デメリットを理解したところで、「データ管理が重要なのはわかったけど、今すぐ取り組まなきゃいけないの?」と思っている人もいるでしょう。
今すぐ社内データ管理を行うべき企業は以下のような企業です。
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この章では、今すぐ社内データ管理を行うべき企業について、それぞれ解説していきます。
4-1. 営業力・販売力を強化したい企業
「2-1. 主観的・感覚的な意思決定から脱却できる」で解説した通り、正しい社内データ管理を行うことで、データに基づいた論理的な状況分析や判断が可能になります。
大手コンビニエンスストアでは販売データを収集したことで、売上が多い商品はもちろん、売上は少ないがリピート率の高い「隠れた人気商品」を可視化しました。 |
大手飲料メーカーでは、ある年の夏のキャンペーンが失敗した理由を、広告の訴求力不足か気温が高すぎたことにあると予想していました。 しかし、購買層のデータを収集し分析したところ、キャンペーンの時期は休暇で旅行に出掛ける人が多い時期と重なっていただけであることが判明しました。 |
根拠のない漠然とした営業活動ではなく、論理的な営業活動を行い、営業力・販売力を強化したい企業はすぐに社内データ管理を導入するべきだと言えるでしょう。
4-2. 在庫管理を効率化したい企業
商品の販売データを管理することによって、効率よく在庫管理を行うことができます。
あるメディアショップでは、自社アプリに登録している会員から会員情報や購買履歴を収集し、このデータをもとに、新作の入荷本数などを決定します。 メディアショップでは、会員の購買履歴など収集したデータを生かして在庫数を最適化することで、利益を最大化を実現しています。 |
例えば、
- 多数の商品を扱っている
- 季節ごとの販売数に波がある
など、在庫管理予測に時間がかかっている企業は、データを管理し収集した販売データを生かした在庫管理を行うのがおすすめです。
5. 社内データ管理を行う流れ
前章では、社内データ管理をするべき企業の特徴について解説しました。
「社内データ管理を導入しよう」と思った人は、導入前に実際にデータ管理を始めるときの流れも具体的にイメージしたいですよね。
社内のデータ管理は、以下の流れで行います。
① | 社内データ管理の目的を決める |
② | 社内データ管理の部署・担当者を決定する |
③ | 社内データ管理を行うツールを決定する |
④ | データのライフサイクルを決める |
⑤ | データの形式を整え入力する(データクレンジング) |
⑥ | データを収集し入力・活用する |
⑦ | データ管理の課題・改善策を見直す |
ここからは、それぞれの工程について詳しく解説していきます。
5-1. 社内データ管理の目的を決める
まずは、どのような目的のために社内データ管理を行うのかを決定しましょう。
「1-1. 目的に沿ったデータを収集する」で解説したように、社内データ管理では、目的の達成に必要なデータのみを収集することが重要です。
そのため、まずは
|
を考えましょう。
5-2. 社内データ管理の部署・担当者を決定する
データ管理を担う担当部署や担当者を選出しましょう。
担当部署は、
|
などを担当し、社内データ管理業務の中心となります。
5-3. 社内データ管理を行うツールを決定する
社内データ管理で利用するツールを決定しましょう。
「3-2. システム使用料などのコストがかかる」でも触れた通り、社内のデータ管理は、専用のデータ管理向けツールを活用するのが一般的です。
しかしデータ管理向けツールには以下のように多くの種類・製品があり、貴社に適切なツールを選ばないと、効果的な社内データ管理は行えません。
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以下はデータ管理向けツールの選び方の例です。
データ管理向けツールを選ぶときに参考にしてください。
データ管理向けツールの選び方の例 |
|
社内データ管理の目的や運用のしやすさを考慮して、自社に最適なデータ管理ツールを利用しましょう。
5-4. データのライフサイクルを決める
データ毎にライフサイクル(保管期間)を設定します。
「2-4. ストレージコストが減少する」でも触れたように、正しい社内データ管理では、データを収集・保管するだけではなく、適切に破棄することも必要です。
データのライフサイクルは、主にデータの重要度によって変わります。
データの例 | 保管期間の目安 | |
重要度の高いデータ |
| 長期保存(5年~半永久的) |
重要度の低いデータ |
| 6ヶ月~1年程度 |
各データに保管期間を設定しておけば、機械的にデータを削除・整理することができ、管理データの増加に伴うコストの増加を防げます。
5-5. データの形式を整え入力する(データクレンジング)
使用するデータを社内データ管理ツールに合わせて形式を整え、ツールに入力していきます。
社内データ管理を導入するときなど、すでにあるデータを入力する場合は、
|
などの作業を行います。
この作業を「データクレンジング」と呼びます。
しっかりとデータクレンジングを行うことで、データに信頼性や高い価値が生まれます。
5-6. データを収集し入力・活用する
「5-5. データの形式を整え入力する(データクレンジング)」までの準備段階が終了したら、実際に運用していきます。
データを収集する方法は、収集するデータの種類や目的に合わせて選びましょう。
データを収集する方法は数多くありますが、主に
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などが挙げられます。
収集したデータは、「1-4. 収集したデータを使用して、経営や営業活動に役立てる」で解説したように、様々な業務や経営判断・営業判断に生かしていきます。
5-7.データ管理の課題・改善策を見直す
社内データ管理の運用状況や課題、その改善策について定期的に見直しましょう。
社内データ管理は、行っているうちに扱うデータの種類や量が増えたり、分析に必要なデータが変わったりします。
そのため、
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など、定期的に見直しを行い、改善していきましょう。
6. 社内データ管理をするときの注意点2つ
前章では、実際に社内データ管理を行う流れについて解説しました。
なかには社内データ管理を行うにあたって、気を付けるべき点があれば知りたいという人もいるかと思います。
実際に社内データ管理を行うときには、以下のような注意点があります。
社内データ管理をするときの注意点 |
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この章では、上記の注意点についてそれぞれ解説していきます。
6-1. 社内データ管理を導入するときは綿密な計画を立てて行う
社内データ管理を導入するときは、あらかじめ綿密な計画を立てて行いましょう。
社内データ管理の導入には、以下のように部署内だけでなく他部署や支社など、横のつながりの協力も必要になるケースが多くあります。
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そのため社内データ管理の導入を場当たり的に進めてしまうと、計画の遅延や予算の超過など様々な方面に迷惑がかかり、結果的にデータ管理導入の失敗につながります。
「5. 社内データ管理を行う流れ」で解説した通り、社内データ管理の導入では決めるべき事項も多いため、計画的に作業を進めることが重要です。
6-2. 常にバックアップを取りデータを保護する
社内データ管理で収集したデータは、常にバックアップをとるように設定しておきましょう。
電子データは、サーバーへの攻撃、システムやハードウェアの障害、誤操作などで消えてしまうことがあります。
扱うデータが電子データである以上、これらのトラブルを完全に防ぐことはできません。
そのため、社内データを失わないためには定期的にバックアップを取り、データを保護することが大切です。
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7. まとめ
〇社内データ管理とは、データを収集・保管するだけではなく
データを使用するために「収集・整理・保持」すること |
を指します。
一口に社内データ管理といっても、その作業内容は多岐にわたり、以下のような作業が含まれます。
データの収集 | 顧客データ、販売データなど目的に沿ったデータを収集する |
データの整理 | 収集したデータを検索しやすい状態に整える |
データの保管 | セキュリティ対策を施した状態でデータを保管する |
データの使用 | データを使用・分析して、経営や営業活動に役立てる |
〇企業が社内データ管理を行うべき理由は以下の通りです。
社内データ管理が必要な理由 |
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〇ただし、社内データ管理には以下のようなデメリットも存在します。
社内データ管理のデメリット |
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〇社内データ管理を行うべきか悩んだときは、以下の表を参考にしてください。
今すぐ社内データ管理を行うべき企業の特徴 |
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この記事では、社内データ管理の基礎知識と必要性について解説しました。
この記事が、貴社が社内データ管理が必要なのか判断する手助けになれば幸いです。
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