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電子印鑑とは?企業がハンコを電子化する方法・メリットと注意点まとめ

「ハンコワーク」という言葉が存在するほど、日本ではハンコ文化が浸透しています。私たちが勤務している会社でも、稟議書や決裁書、請求書や見積書、契約書など、書類に印鑑を押す場面が頻繁に見られます。

 しかし、ご存じのように、こうした書類は徐々に電子化されつつあります。書類が電子化されれば、そこに押していた印鑑も電子化が必要になります。もしくは、これを機に印鑑を使用しないという選択をするケースが増えてくるかもしれません。

 この記事をお読みのみなさんの中には、「テレワークを実施しているのに、書類にハンコを押すために出社しなくてはならない」という経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。最近では、こうしたハンコワークを減らして業務効率を向上させるため、書類の電子化と同時に、印鑑を電子化した「電子印鑑」を取り入れる企業も増えてきています。

 この記事では、とても身近になってきた印鑑の電子化について、その必要性や電子化の方法、メリットや注意点などをご紹介します。

また、電子印鑑を押した文書データは、アクセス権限を設定するなどして安全に保管すると同時に、サイバー攻撃や自然災害などでデータが消失してしまった場合に備え、日頃からバックアップを取ることも必要です。このあたりも意識しながらお読みいただけたら幸いです。

1.電子印鑑とは

「電子印鑑」は、これまで紙に押していた印鑑の機能を、電子データとして再現するものです。たとえば、PDFファイルなどの電子文書に、パソコンから「押印」することができる印鑑のデータを指します。

 では、電子印鑑にはどんな種類があるのか見ていきましょう。

1-1. 電子印鑑の種類

電子印鑑には、大きくわけて以下の2種類があります。

  1. 印影を画像化したもの
  2. 印影に識別情報が入ったもの

印影とは、朱肉をつけた印鑑を紙に押し、紙に残る朱肉の跡のことです。

印影を画像化したものは、実際の印影を画像データとして取り込み、必要な書類データに貼り付けて使用する、一般的な電子印鑑で、誰でも簡単に利用できます。電子印鑑作成サービスを利用すれば、キレイに作成することもできます。
  イメージは電子印鑑作成サービスハンコヤドットコムのサイトより

印影に識別情報が入ったものは、いつ誰が押印したのかがわかるよう、印影の画像データに使用者の識別情報が組み込まれた電子印鑑です。単に印影を画像化したものに比べ、より信頼性が高い電子印鑑です。有料のウェブサービスなどを利用する必要がありますが、Adobe Acrobat Readerを使うと無料で作成することも可能です。

Adobe Acrobat Readerを利用すると、Self-SignデジタルIDを作成して電子署名を利用可能にしたあと、それを印鑑の画像に組み込んで保存することで、電子印鑑の印影に識別情報を付加することができます。そしてその電子印鑑をクリックすると、下図のような「署名の検証のステータス」で氏名<メールアドレス>が表示され、署名が有効だとわかります。

※ただし、Self-SignデジタルIDは、厳格な本人性が必要な場面では使用できません。 その場合、電子証明書をAdobe Acrobat Reader DCに読み込ませた上で、電子署名を付与する必要があります。一方、有料のウェブサービスには、電子証明書、電子署名、電子印鑑すべてを提供するものもありますので、簡単に利用することができます。

1-2. 電子印鑑の法的効力

印鑑をデータ化した「電子印鑑」は、法的効力を持つのでしょうか。

答えは「ノー」です。電子印鑑に法的効力はありません。実は、電子印鑑だけでなく、印鑑を押すこと自体にも法的効力はありません。印鑑は、日本に古くから根付いている慣習のひとつです。確認や承認などの証拠として残すためのもので、日本では取引の際にも印鑑を押す慣習があります。この押印という慣習のために信頼性が増しているという側面はあります。

★そもそも印鑑は必要ない?
印鑑に法的効力はないとご説明しましたが、実際、契約書などの書類に印鑑を押さなければならないという決まりがないのはご存じでしょうか?

 契約について原則的なルールを定めているのは民法ですが、契約は原則として「当事者の申込みや承諾の意思表示が合致すれば成立」するものであり、「書面の契約書がなくても契約は成立する」と定められています。押印が必要だと記している箇所はどこにもないのです。

 第522条(契約の成立と方式) の条文からの抜粋

  1. 契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する。
  2. 契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない。

また経済産業省の「押印に関するQ&A」を説明するサイトでは、押印の必要性に関する質問に対して以下のように回答しています。

Q1.契約書に押印をしなくても、法律違反にならないか。
(回答)私法上、契約は当事者の意思の合致により、成立するものであり、書面の作成及びその書面への押印は、特段の定めがある場合を除き、必要な要件とはされていない。特段の定めがある場合を除き、契約に当たり、押印をしなくても、契約の効力に影響は生じない。

ただ、押印されていると、「確認した」「承認した」という意味をもちます。電子印鑑を利用する場合も、押印することで「確認した」「承認した」という意思を伝えることになります。

2.電子印鑑を作成する方法

次に、この2種類の電子印鑑を作成する方法をご紹介します。

  1. 印影を画像化したもの
  2. 印影に識別情報が入ったもの

2-1. 印影を画像化して電子印鑑を作成する

印影を画像化するには以下のような方法があります。

具体的に見ていきましょう。

2-1-1. 紙に押印し、その印影をスキャナで読み込んで作成する方法

以下の手順で印影を取り込み、画像処理を行います。

今回はExcelを使って印影の画像を処理・作成しましたが、「ペイント3D」というツールを使って作成することなども可能です。

2-1-2. PDFを使って作成する方法

PDF(Adobe Acrobat Reader)を使うとカンタンに電子印鑑が作成できます
WordやExcel でもできますが、Adobe Acrobat Readerには電子印鑑機能が予め備わっているので、PDFのほうが簡単に電子印鑑を作成できます。作成方法は以下の通りです。

・Adobe Acrobat Readerの電子印鑑機能

上記のような電子印鑑のほか、「承認済」、「却下」、「草稿」などのスタンプも利用できます。
また、「カスタムスタンプ」という機能を使うと、別途用意した印影画像を電子印鑑として取り込んで利用することもできます。実際に紙に捺印した印影画像の背景を透過させて取り込んでみてもよいでしょう。

★WordやExcelの図形機能を使って作成することもできますが、手間がかかるため、PDFの利用をお勧めします。

2-1-3. 電子印鑑作成用のフリーソフトなどを利用して作成する

電子印鑑を作成するフリーソフトはいくつかあり、機能は様々です。背景の透過や切り抜きといった編集作業が簡単にできるタイプや、面倒な編集作業が一切なく、手軽に電子印鑑が作れるタイプもあります。用途やスキルに応じて好みのソフトを選択するのがよいですね。

 代表的なサービスを以下にご紹介します。

  • 印鑑透過」:透過印鑑画像を自動で作成してくれるウェブサービスです。
  • クリップスタンプ」:文書に日付印や三文判などを押印できるフリーソフトです。

2-1-4. 電子印鑑作成サービスを利用する

フリーソフトを利用することに不安がある方は、有料の電子印鑑作成サービスや印影データ作成サービスなどを利用しましょう。

フリーソフトなどで作成する印影は背景部分が白色に設定されることもあるため、文字の上にのせて印影を配置した場合、後ろの文字が隠れてしまいますが、印影データ作成ショップや電子印鑑作成サービスで作成すると、実物の印鑑を捺印したように見える、透過加工済みの電子印鑑の作成も可能です。

代表的なサービスを以下にご紹介します。どちらも、実際の印鑑の作成も可能です。

  • ハンコヤドットコム:実際に捺印したように見える透過PNG形式で提供するサービスです。
  • 京都光林堂:オリジナル印影になるようにデザインを調整して提供するサービスです。

2-2. 印影に識別情報が入った電子印鑑を作成する

印影の画像データに使用者の識別情報が組み込まれた電子印鑑を作成するには、有料のウェブサービスなどを利用する必要があります。印影データのみの電子印鑑と比較すると、改ざんやなりすましといったセキュリティリスクを低減することができます。

 こうしたサービスには、電子印鑑単体ではなく、電子契約や決済承認フローなどを電子化・効率化するものが含まれます。代表的なサービスを以下にご紹介します。

3.印鑑電子化のメリット

印鑑を電子化することで、業務効率が大きく向上し、同時にペーパーレス化によるコスト削減や環境にやさしい取り組みを推進することができます。

4.印鑑電子化の注意点

電子印鑑には2種類あるとご説明しましたが、それぞれに注意が必要な点もありますので、以下をご覧ください。

印影を画像化した電子印鑑は、誰でも簡単に作成できる一方、複製されやすく偽造リスクもあることを忘れてはなりません。特にフリーソフトで作成した場合は、まったく同じデザインの電子印鑑が作成可能になります。実際の印鑑でいうと、市場に同じものがたくさん出回っている「認印」的な存在に該当するとお考え下さい。契約書などの正式な書面に使用するのではなく、社内での稟議書・決裁書などでの利用にとどめておくのがよいでしょう。

印影に識別情報が保存された電子印鑑は、主に有料の電子契約サービスなどで作成するもので、導入コストがかかるほか、取引先の同意が必要となります。導入にあたっては関係者間での事前確認をしておきましょう。

印影に識別情報が保存された電子印鑑を利用すると、なりすましで押印されてしまうことを防ぐことができ、安心して使用できますが、より厳密な本人確認や真正性を求められる、契約書などの重要書類では、実際の印鑑でいう「印鑑登録証明書」に該当する「電子証明書」の発行が必要になる場合もありますので、注意が必要です。

まとめ

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。この記事では、印鑑の電子化について、その必要性や電子化の方法、メリットや注意点などをご紹介してきました。

最後にこの記事の重要ポイントをまとめます。

●電子印鑑には、大きくわけて2種類があります。
・印影を画像化したもの
・印影に識別情報が入ったもの

●電子印鑑の作成には4つの方法があります。
・用紙に押印して、押印した印影をスキャナで読み込み作成する
・PDFなどを使って作成する
・電子印鑑作成用のフリーソフトなどを利用して作成する
・電子印鑑作成サービスを利用する

印影を画像化して電子印鑑を作成する場合は、PDF(Adobe Acrobat Reader)を使うとカンタンに電子印鑑が作成できるので、おすすめです。

電子印鑑を作成できるフリーソフトはたくさんありますので、認印として利用する場合には便利です。

●印鑑電子化のメリット
・業務効率化
ペーパーレス化によるコスト削減や環境への配慮

●電子印鑑を利用する場合の注意点
・印影を画像化したもの:偽造リスクがあるため、社内で、認印として使うこと
・印影に識別情報が入ったもの:導入コストがかかるほか、取引先の合意が必要になる

 契約書など、厳格に本人性を証明する必要がある場合には、単に印影を画像化したものや、フリーソフトなどで作成した印影ではなく、印影に識別情報が入った電子印鑑が必要です。電子証明書の発行が求められる場合には、有料の専用ソフトやサービスを利用するとよいでしょう。

最後にみなさんに念押ししたいのは、電子印鑑を押した文書データはアクセス権限を設定するなどして安全に保管すると同時に、サイバー攻撃や自然災害などでデータが消失してしまった場合に備え、日頃からバックアップを取っておきましょう。

バックアップには日本市場での導入実績が豊富な『Arcserve UDP』がおすすめです。

これから印鑑の電子化を進めようとしているみなさんにとって、この記事が参考になれば幸いです。

<参考記事>
印鑑電子化に関連して、以下の記事もあわせてお読みください。
契約書電子化のメリット・デメリットと作成までの流れ・注意点まとめ
請求書電子化のメリット・デメリットと具体的な進め方・注意点まとめ

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