データセキュリティとは、デジタルデータに特化したセキュリティ対策のことです。データを、改ざんや破壊・削除・盗難などのリスクから保護します。
具体的には、以下のような、外部及び内部からのリスクへ対策を行います。
【データセキュリティで対策を行うリスクの例】
・マルウェア感染によるデータの改ざん、削除 ・内部不正による機密情報の盗難や売却・サーバーのクラッシュによる顧客情報の消失 |
近年ビジネスを取り巻く環境が変化し、データの価値が高まったり、情報漏洩した場合の損失が大きくなったりしたことで、データセキュリティが注目されています。
データセキュリティが不十分で、データが失われると、
・市場ニーズを分析できなくなり、ビジネスチャンスをつかめなくなる
・社会的信用が失墜し、顧客や取引先を失う
・損害賠償請求に発展する
などの、甚大な損失につながる危険性があるからです。
だからこそ、すべての企業がデータセキュリティに力を入れる必要があるといえるでしょう。
この記事では、これからデータセキュリティを充実させたい方に役立つ、データセキュリティの概要・重要視される理由・代表的な対策などを解説します。
【この記事の内容】
・データを扱うすべての企業に必須のデータセキュリティとは? ・データセキュリティが重要視される3つの理由 ・データセキュリティの代表的対策3つ ・データセキュリティの効果を高める2大ポイント |
後半では、データセキュリティの効果を高める2大ポイントについてもご紹介します。より効果的にデータセキュリティ対策を行いたい場合にも、お役立ていただけるでしょう。
今回ご紹介する内容を把握しておくことで、データセキュリティについて基本的な知識を身に付け、具体的に何をすべきかがわかるようになります。
今や、企業にとって重要な資本の1つともいえるデータを喪失しないためにも、ポイントを押さえたデータセキュリティを行いましょう。
目次
1. データを扱うすべての企業に必須のデータセキュリティとは?
データセキュリティとは、デジタルデータを、改ざん・破壊・削除・盗難などのリスクから守るためのセキュリティ対策のことです。
近年では、データの重要性が高まり、不正アクセスによる情報漏洩などのリスクも増えていることから、その重要性が高まっています。
ここでは、データを扱うあるゆる企業に必須級のデータセキュリティについて、正しく対策をするために押さえるべき、
・基本的な概要
・対策すべきリスクの具体例
・サイバーセキュリティとの関係性
について、チェックしておきましょう。
1-1. デジタルデータをあらゆるリスクから守るのがデータセキュリティ
冒頭でもお伝えしたとおり、データセキュリティとは、デジタルデータの保護に特化したセキュリティ対策のことです。
具体的には、データの機密性、可用性、完全性を保つための対策を行います。具体的にどういうことなのか、例や代表的な対策も含めて、まとめて把握しておきましょう。
データの機密性、可用性、完全性を保つとは? | |
機密性 | ・機密性とは、アクセス権限のある人以外は、データにアクセスできないようにすること 【機密性の具体例】 ・未発表の研究成果や新製品の仕様などを、閲覧する権限がない人が見られないようにする 【機密性を保つ対策の例】 ・機密情報を管理しているシステムなどにIDやパスワードを設定し、アクセス権限を適切に設定する ・暗号化する |
可用性 | ・可用性とは、データを利用したいときにいつでもスムーズにアクセスできること 【可用性の具体例】 ・サーバーやシステムがダウンしても、バックアップにアクセスすることで、必要なデータを利用できる 【可用性を保つ対策】 ・バックアップを実施する ・システムがダウンしたときに備え、予備のシステムを準備しておく(二重化) |
完全性 | ・完全性とは、正確で最新なデータにアクセスできること 【完全性の具体例】 ・サイバー攻撃によるデータ改ざんを予防する 【完全性を保つ対策】 ・データを暗号化する ・アクセスログが記録できるように設定しておく |
データセキュリティ対策を実施するときは、上記の3つの観点を念頭に置いて取り組むことで、効果的な施策を選べるようになります。
1-2. データセキュリティで対策すべきリスクの具体例
データセキュリティで対策すべきリスクの具体例を把握し、対策の必要性について正しく理解しましょう。
データセキュリティでは、以下のとおり、外部及び内部からのリスクへ幅広く対策を行います。
データセキュリティで対策を行うリスクの例 | |
リスク | 対策例 |
外部からのランサムウェアなど、マルウェア感染によるデータの改ざん、削除 | 暗号化・バックアップ |
内部の従業員や委託先業者の不正アクセスによる機密情報の盗難、売却 | アクセス権限の管理・暗号化 |
サーバーのクラッシュやシステムダウンによる顧客情報の消失 | バックアップ |
上記のとおり、外部からのサイバー攻撃や不正アクセスはもちろんのこと、内部の従業員の不正から機器・システムの不具合まで、多角的に対策を取る必要があります。
データセキュリティを確実に向上させようと考えるなら、一ヶ所に対策を取って満足せず、複数の施策を組み合わせるようにしましょう。
1-3. データセキュリティとサイバーセキュリティの関係性
データセキュリティは、サイバーセキュリティの一種という関係性にあります。
サイバーセキュリティは、データやネットワーク・サーバー・サイトなどを、サイバー攻撃に代表されるリスクから守ることです。
データセキュリティとサイバーセキュリティの関係性 | |
データセキュリティ | デジタルデータを、改ざん・破壊・削除・盗難などのリスクから守る |
サイバーセキュリティ | データやネットワーク・サーバー・サイトなどを、サイバー攻撃に代表されるリスクから守る |
データセキュリティの向上は、データを保護するためには欠かせない取り組みです。ただし、企業のシステムやWebサイトなどを守るためには、その他のサイバーセキュリティ対策もあわせて検討する必要があります。
2. データセキュリティが重要視される3つの理由
近年、データセキュリティが重要視されるのは、以下の3つの理由からです。
データセキュリティが重要視される3つの理由 |
1. ビジネスにおけるデータの価値が上がったから 2. データが漏洩すると大きな損失につながるから 3. 働き方の多様化に伴いゼロトラストの視点が不可欠だから |
もう少し詳しく、内容を説明していきます。重要性を再確認し、データセキュリティの拡充をはかっていきましょう。
2-1. ビジネスにおけるデータの価値が上がったから
ビジネスにおけるデータの価値が上がったことから、データセキュリティの重要性も高まっています。
近年では、情報をデジタル化し、データで取り扱う企業が急増している状況です。
これに伴い、企業では個人情報や取引先の情報・発表前の新製品の機密情報など、価値あるデータが多数、蓄積されるようになってきています。
また、ビッグデータ活用やデータドリブンなど、ビジネスにおけるデータ活用の重要性が増したことから、機密性の高い情報以外の有用性も高まっている状況です。
総務省の「令和3年情報通信白書」によると、デジタルデータを活用していると回答した企業が4割を超えており、前年度の2割程度から大幅に増加しています。
このように、データが以前にも増して守るべき価値の高い存在になったことが理由で、データセキュリティの重要度も軒並み上がっているのです。
2-2. データが漏洩すると大きな損失につながるから
データセキュリティが不十分でデータの漏洩が起きてしまうと、大きな損失につながることも、データセキュリティが重要視される一因です。
損失の例として、以下のようなものが挙げられます。
【データ漏洩による損失の例】
・分析用のデータや顧客リストなど、価値のある情報が失われる ・漏洩によって信頼を失い、取引先や顧客を失う ・社会的信用をなくし、企業やブランドのイメージが悪化する ・損害賠償が発生する など |
日本IBMの調査によると情報漏洩が発生すると、企業は平均4億円以上もの被害を被るとされていることから、その影響の大きさがうかがえます。
企業がデータを漏洩させると多くの損失につながりかねず、最悪の場合、事業継続すら困難になりかねない状況です。だからこそ、損失を防げるデータセキュリティが重要視されるのです。
2-3. 働き方の多様化に伴いゼロトラストの視点が不可欠だから
ゼロトラストとは、すべての領域においてセキュリティリスクがあることを前提にする考え方のことです。
ゼロトラストにおいては、「インターネットでサイトを閲覧するときだけセキュリティソフトを導入する」といった限定的な対策ではなく、社内のシステムやネットワークも含め、すべての領域で対策を行います。
近年では、テレワークやクラウド活用の浸透に伴い、効果的なセキュリティ対策を行うには、ゼロトラストの視点が欠かせません。
ネットワーク経由でどこからでもシステムやデータにアクセスできるようになったことで、セキュリティリスクのある範囲が広がったからです。
どこからでもアクセスできるシステムやデータは、サイバー攻撃を受けるリスクや、外部から利用する従業員がうっかりデータを漏洩させるリスクが、高まります。
そのため、もしものときでも被害を最小限に食い止められるように、データを暗号化するなどの対策が欠かせないのです。
3. データセキュリティの代表的対策3つ
データセキュリティ対策には、複数の種類があります。ここでは、代表的な対策例と、その効果を確認しておきましょう。
データセキュリティの代表的対策3つ |
1. 暗号化 2. アクセス権限の管理 3. バックアップ |
どういう対策が有効なのか、順番に説明していきます。
3-1. 暗号化
暗号化とは、正しい方法でデータにアクセスしないと、内容が読み取れないようにする対策のことです。
データを暗号化しておくことで、不正アクセスされてしまっても、データの漏洩・盗難・改ざんなどを防ぐことができます。
例えば、ストレージに保存する個人情報や、ネットワーク経由でやり取りするデータを暗号化することで、安全な業務環境を構築できるようになるでしょう。
暗号化は、システムの設定画面で変更したり、暗号化ができるセキュリティソフトを導入することで、使えるようになります。
3-2. アクセス権限の管理
アクセス権限とは、データの閲覧・更新・削除などについて、利用の許可・禁止を設定できる機能のことです。
個人情報や機密性の高い情報など重要なデータについては、アクセス権限を適切に設定し、特定のユーザーのみ見ることができるようにしておくことで、情報漏洩リスクを大きく減らすことができます。
権限の設定は小まめにしておかないと忘れがちなので、新しいデータを保存するたびに、設定を確認するようにしましょう。
アクセス権限の設定は、各システムの設定画面や管理者権限などから変更可能です。
3-3. バックアップ
バックアップとは、もしものときに備えてデータのコピーを定期的に取り、本体とは別の安全性の高いストレージやシステムに保存しておくことです。
小まめにバックアップを取っておくことで、サイバー攻撃でデータが改ざんされたり、サーバーやシステムが故障してしまったりといったトラブルが起こったときでも、データを守ることができます。
また、バックアップがあることで、トラブルや災害発生時の復旧を早めることも可能です。
バックアップでもイメージバックアップの活用を推奨します。
イメージバックアップとは、ファイルだけでなくアプリ構成やオペレーティングシステムなどコンピューターの完全なコピーのバックアップを作成できます。
詳細は、以下の記事「イメージバックアップ|企業にとって必須なバックアップをプロが解説」を参照してみてください。
データを確実に保護したい場合は、Arcserve にお問合せください。
購入前のお問合せ窓口ページをご用意しております。
4. データセキュリティの効果を高める2大ポイント
データセキュリティの効果を高めるためには、押さえるべきポイントが2つあります。
データセキュリティの効果を高める2大ポイント |
1. 複数の対策を組み合わせる 2. 従業員教育を徹底させる |
どういうところが重要なポイントとなるのか、順番に見てみましょう。
4-1. 複数の対策を組み合わせる
データセキュリティの効果を高めるには、複数の対策を組み合わせる必要があります。
これは、各対策で得られる効果が、それぞれ異なるためです。
前章でご紹介した暗号化・アクセス権限の管理・バックアップなども、どれか1つ実施すればよいというものではなく、複数組み合わせることで効果が高まります。
例えば、いくらデータを暗号化していても、システムの故障時にはデータが使えなくなってしまうので、バックアップを組み合わせることは必須です。
このように、対策を片手落ちにしてしまわないためには、セキュリティ対策は、複数を同時に実施するようにしましょう。
4-2. 従業員教育を徹底させる
データセキュリティの効果を発揮させるには、従業員に対して、データセキュリティに関する研修を1年に1回など定期的に実施し、従業員教育を徹底させることも欠かせません。
いくらシステム上で複数の対策を行っていても、それを利用する従業員がずさんな取り扱いをしていては、データの安全性を守ることは難しくなるからです。
例を挙げると、いくらアクセス権限の設定をきちんと行っていても、アクセスに必要なIDやパスワードの管理がずさんで流出してしまえば、誰でも機密情報などを閲覧できるようになってしまうでしょう。
セキュリティ対策は、システムなどのハード面の対策と、従業員側の知識や心がけというソフト面の両輪がセットになってはじめて、効果を発揮するものであることを念頭に置いておいてください。
5. まとめ
データセキュリティとは、デジタルデータを、改ざん・破壊・削除・盗難などのリスクから守るためのセキュリティ対策のことです。
近年では、データの重要性が高まり、不正アクセスによる情報漏洩などのリスクも増えていることから、その重要性が高まっています。
具体的には、データの機密性・可用性・完全性を保つための対策を行います。
データの機密性、可用性、完全性を保つとは? | |
機密性 | ・機密性とは、アクセス権限のある人以外は、データにアクセスできないようにすること 【機密性の具体例】 ・未発表の研究成果や新製品の仕様などを、閲覧する権限がない人が見られないようにする 【機密性を保つ対策の例】 ・機密情報を管理しているシステムなどにIDやパスワードを設定し、アクセス権限を適切に設定する ・暗号化する |
可用性 | ・可用性とは、データを利用したいときにいつでもスムーズにアクセスできること 【可用性の具体例】 ・サーバーやシステムがダウンしても、バックアップにアクセスすることで、必要なデータを利用できる 【可用性を保つ対策】 ・バックアップを実施する ・システムがダウンしたときに備え、予備のシステムを準備しておく(二重化) |
完全性 | ・完全性とは、正確で最新なデータにアクセスできること 【完全性の具体例】 ・サイバー攻撃によるデータ改ざんを予防する 【完全性を保つ対策】 ・データを暗号化する ・アクセスログが記録できるように設定しておく |
近年、データセキュリティが重要視されるのは、以下の3つの理由からです。
データセキュリティが重要視される3つの理由 |
1. ビジネスにおけるデータの価値が上がったから 2. データが漏洩すると大きな損失につながるから 3. 働き方の多様化に伴いゼロトラストの視点が不可欠だから |
データセキュリティ対策には、複数の種類があります。代表的な対策例は、以下のとおりです。
データセキュリティの代表的対策3つ |
1. 暗号化 2. アクセス権限の管理 3. バックアップ |
データセキュリティの効果を高めるためには、押さえるべきポイントが2つあります。
データセキュリティの効果を高める2大ポイント |
1. 複数の対策を組み合わせる 2. 従業員教育を徹底させる |
今や、企業にとって、データは重要な資本の1つともいえる存在です。思いがけないトラブルで喪失しないためにも、ポイントを押さえたデータセキュリティを行いましょう。
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