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停電でNASにトラブルが発生した場合の対処法4つと停電対策方法を解説

「停電後にNASのデータにアクセスできなくなった」
「今後計画停電があった場合、NASのデータを守るためにはどうすべき?」

停電によってNASのデータにアクセスできなくなったり、起動しなくなったりするというトラブルが起こることがあります。トラブルが起こった際に再起動を繰り返すなどの間違った対応をしてしまうと、状態が悪化しデータを取り出すことが困難になる可能性があるため、注意が必要です。

また、計画停電がある場合も、事前に準備をしておかなければデータの消失や機器の故障に繋がります。

本記事では以下の内容を詳しく解説しています。

● 停電で起こりうるNASのトラブル
●停電でNASにトラブルが起きた場合の対処法
● NASの停電対策
●計画停電の準備方法

この記事を読むことで、停電でNASにトラブルが起きた場合はどのような対応をすればいいのかがわかります。また、計画停電への対応についても解説していますので、ぜひ最後までお読みください。

1. 停電で起こりうるNASのトラブル

停電で起こりうるNASのトラブル

停電が原因で起こる可能性があるNASのトラブルには、以下のようなものがあります。
●    HDDの故障/内部部品の損傷
●    ショートによる基板損傷
●    RAID構成・ファイルシステムの破損/制御システムの不具合発生

まず、これらのトラブルが停電によってどのように引き起こされるのかについて解説します。

1-1. HDDの故障/内部部品の損傷

NASを運用している最中に停電が起こった場合、NASに内蔵されたHDDに大きな負荷がかかって故障してしまう可能性があります。例えば、ハードディスク内のデータ保存を行うプラッタに磁気ヘッドが接触してしまい、プラッタに傷ができてしまったり、磁気ヘッドが固着してしまったりなどです。

その結果、データが消失してしまうなどのトラブルが起こります。

このような場合は通電し続けたり再起動を繰り返したりしてしまうと、状態が重篤化する可能性があるため、すぐに電源を切りましょう。

1-2. ショートによる基板損傷

停電が起きた後に通電した際に過電流でショートしてしまった場合、基板が損傷してしまうケースがあります。基板が損傷してしまうと、NASが作動しなかったりデータにアクセスできなかったりといったトラブルが発生してしまいます。

基板が損傷してしまった場合は個人で対応することが困難になるため、すぐに電源を切ってからデータ復旧業者に相談しましょう。

1-3. RAID構成・ファイルシステムの破損/制御システムの不具合発生

停電の際にRAID構成が壊れてしまったり、ファイルシステムや制御システムが不具合を起こしてしまったりすることもあります。

RAID構成やシステム上にトラブルが起きてしまうと、個人で復旧などを行うのは困難です。復旧させようと作動させ続けてしまうと状態が重篤化する恐れがあるため、すぐに電源を切ってデータ復旧業者に相談することが大切です。

2. 停電でNASにトラブルが起こった場合の対処法

停電でNASにトラブルが起こった場合の対処法

停電後、NASにトラブルが発生した場合、次の順番で対処してみましょう。

●    ランプの状態や異音がないかを確認
●1度だけ電源のオンオフをしてみる
●    NASに内蔵されているHDDをパソコンに直接つないでみる

ただし、これらの方法は確実な方法ではなく、対処法を試すことでデータを取り出せなくなるリスクは少なからずあります
少しでもデータ復旧の確率を高めたいのであれば、データ復旧専門業者に依頼するのがおすすめです。

リスクを理解したうえで、専門業者に依頼する前にできることはやりたいという人のために、対処法について詳しく解説していきます。

2-1. ランプの状態や異音がないかを確認

本体のランプの点灯によって状態の把握ができるNASの場合は、電源を落とす前に一度ランプがいつもと違う状態になっていないかを確認しましょう。例えば、通常は点灯しているランプが赤く点滅しているなどです。

このような場合には、機器本体やHDDに不具合が生じている可能性があります。

また、通電した際に異音が聞こえた場合も本体になんらかの異常が発生しているため、ランプの異常や異音がある場合にはすぐに電源を切ってデータ復旧専門業者に相談をしましょう。

2-2. 1度だけ電源のオンオフをしてみる

NASの記憶媒体にトラブルが発生した場合、電源を入れ直すことで状況が改善することもあります。ただし、試すのは1回のみにしましょう。

電源のオンオフはNAS本体やHDDに大きな負荷がかかります。トラブルが発生している状態で電源のオンオフを繰り返してしまうと、状態の重篤化や新たな故障の原因になりかねません
1度試して改善が見られないようであれば、そのまま電源を切ってデータ復旧業者に相談しましょう。

電源のオンオフは1回でもさらなるトラブルを引き起こすリスクがあります。NASのデータを絶対に失いたくない場合は電源のオンオフは試さず、すぐにデータ復旧業者に依頼しましょう。

2-3. NASに内蔵されているHDDをパソコンに直接つないでみる

NASが起動しなかったり、ファイルや共有フォルダにアクセスできなかったりした場合、NASに内蔵されているHDDを取り出し、直接パソコンに繋いでデータを取り出す方法があります。

ただし、NASに内蔵されているHDDをパソコンに繋いだとしても、ファイル形式の違いやRAID構成によって簡単にはデータを見ることができません
パソコンに接続した際に「フォーマットしますか?」といったエラーメッセージが表示されたり、HDDをNASに戻す際にRAIDのシステムを復旧するリビルドによって、RAID構成が壊れてしまったりといったリスクがあります。

また最悪の場合、データが破損して復旧が難しくなることも起こりうるため、データを取り出す成功率を少しでも上げたいという場合には、データ復旧業者に問い合わせてください。

2-4. 専門業者に問い合わせる

ここまで繰り返し解説した通り、電源のオンオフで回復しない場合やHDDをパソコンに繋いでもデータを取り出せない場合、もしくはNASのデータを取り出せる確率を少しでも上げたい場合は、データ復旧の専門業者に問い合わせて相談することが大切です。
通電を続けたり、知識がないまま復旧を試みたりすることで、状態が悪化して復旧が困難になる可能性があるからです。

データ復旧業者は数多くありますが、以下のような基準で選びましょう。

選定ポイント備考
料金体系が定額か定額でない場合は費用が高額になる可能性があるため要確認
データ復旧の確かな実績はあるかホームページで充分な実績があるかを確認
成功報酬型か成功報酬型でない場合、データ復旧に失敗しても料金を支払わなければならないため要確認
サービス利用者の口コミは問題ないか「業者名+口コミ」で検索して問題のない業者であるかを確認
プライバシーマーク・ISOを取得しているか/秘密保持契約書を書面で締結できるか大切なデータを預けなければいけないので、必ずホームページや問い合せで確認
問い合せへの対応が丁寧か電話対応など接客が丁寧な業者はアフターフォローも親切丁寧であることが多いため

3. NASの停電対策方法2つ

停電によってNASのデータを失わないための対策方法は以下の2つです。

●    UPSの導入
●    NASのデータのバックアップ

事前に対策を行い、NASのデータを守れるようにしておきましょう。

3-1. UPSを導入する

急な停電に備えるのであれば、UPSを設置することでNASや内蔵されたHDDの故障などを防げる確率が高くなります。UPSとは「無停電電源装置」のことで、急な停電の際にUPSから電力を供給し、NASやサーバーを安全にシャットダウンすることが可能になる機器です。

UPSを導入する場合には、以下のポイントを確認しながら選びましょう。

●    NASに対応しているUPSか
●    バックアップ電源の稼働時間はどの程度か
●    バッテリーの寿命はどの程度か
●    出力コンセントの数は充分か
●    接続する予定の機器をすべて繋げられる定格電流か

UPSを導入する場合、次に説明する注意点やNASとの連動について理解してから検討しましょう。

3-1-1. UPS導入の注意点

UPSは間違った方法で使用していると、機器の故障に繋がったり万が一の場合に復旧が難しくなったりするので、正しい知識を持たずに導入するのは危険です。

以下の3つは必ず守って導入するようにしましょう。

●    タコ足配線をしない
UPSは必ず壁や床のコンセントに直接接続し、OAタップは使用しないようにしましょう。アース線も接続してください。タコ足配線で定格電流を超えた場合、発熱して発火する危険性があります。

●    機器の電源容量を守る
UPSに接続する機器の電源容量の合計がUPS本体の仕様を上回らないように接続しましょう。複合機のように電源を入れた際などに多くの電流が必要となる機器は接続しないでください。
容量をオーバーすると警告のアラーム音が鳴ります。過負荷となって故障する可能性があるため、電源容量を超えないよう注意しましょう

●    計画的にバッテリーを交換する
UPSに内蔵されているバッテリーには寿命があります。経年劣化とともにバッテリーの減りが早くなるため、1〜3年ほどでバッテリーを交換しましょう。

3-1-2. NASとUPSの連動

UPSは正しく導入できていなければ、停電からNASのデータを守ることができません。UPSのバッテリー容量をすべて消費した場合、当然ながらUPSからの電源供給が止まってしまうからです。急なシャットダウンはデータ消失の原因となってしまいます。
そのような自体にならないためにも、UPSから電源異常信号を受け取った際にNASが安全にシャットダウンするように準備が必要です

連動機能のあるNASとUPSを通信ケーブルで接続しましょう。そうすることで、UPSが停電を検知するとUPSから電力が供給されている間にすべてのサービスを停止して、NASを安全にシャットダウンできます。

停電発生時の流れは以下の通りです。

1. UPSが停電を検知し、商用電源から内部電源に切替え
2. NASに停電を通知
3. 停止信号を受け、NASがシャットダウン開始

NASの種類によって電力が回復した際に通電を検知し、自動起動を行うものもあります。
UPSを選ぶ際には性能や導入方法を充分に確認したうえで導入するようにしましょう。

3-2. バックアップをとっておく

NASのデータは、外付けHDDやクラウドにバックアップをとっておきましょう。停電によって万が一データが取り出せなくなった場合でも、NAS以外にバックアップをとっておくことでデータの復旧も容易になります。

データの更新頻度に合わせて、1日1回は最低でもバックアップをとるなど決まりを作っておきましょう。また、自動バックアップ機能を有効にしておくと、もしもバックアップをし忘れた場合でも安心です。

4. 計画停電前にしておくべきNASなどの事前準備

計画停電前にしておくべきNASなどの事前準備事前にいつ停電するか分かっている計画停電の場合、事前準備が重要です。事前準備をしておらず計画停電になってしまうと、機器の故障やデータの消失など通常の停電と同じようなリスクがあるからです。

次の流れに沿って計画停電に対応しましょう。

4-1. 社内に計画停電に伴う機器の停止を周知

計画停電の1〜2週間前に、計画停電があることと機器の停止についてメールなどで社内に連絡します。当日もリマインドのために同じように連絡をしましょう。

連絡する際は、以下の内容を記載してください。

●    計画停電によってNASやサーバーなどの機器が停止する日時
●    各従業員に計画停電前に行ってほしいこと
●    計画停電によってどのような影響があるか

各従業員には、パソコンのシャットダウンをするように依頼してください。
計画停電中はNASへの接続ができなくなることなどを計画停電の影響として伝えると、当日の混乱を避けられるでしょう。

4-2. 事前に社内機器の停止方法を確認する

計画停電前に、すべての社内機器を停止しておく必要がありますが、各機器によって電源の切り方は異なります。安全にシャットダウンするためにも、電源の切り方を確認してください。

また、電源を切る順番も重要です。順番を間違えてしまうと予期せぬトラブルに繋がる可能性があるため、どの順番で電源を切っていくのかを覚えておきましょう。

電源を切る順番は、以下の通りに行いましょう。

計画停電前の機器の停止順
1.    クライアントPCおよび、それに接続されている機器
2.    ADサーバー・DNSサーバー・DHCPサーバー以外のサーバー
3.    NAS
4.    ADサーバー
5.    プリンター
6.    DNSサーバー・DHCPサーバー
7.    ハブ・スイッチ・無線ルーター
8.    ルーターやONUなどのインターネット接続機器
9.    UPS

4-3. 計画停電前にすべての機器を停止する

当日は、計画停電が実施される前にNAS・サーバー・ルーター・パソコンなどの機器をすべて停止させてください。特にパソコンはスリープモードになっていないかを充分にチェックしましょう。

電源が切れていないまま停電になるのは、機器の動作中に電源ケーブルを抜いてしまうのと同じ状態です。急に電源が切れてしまうとシステムが異常終了して、最悪の場合機器の故障に繋がります

機器の電源を切り終えたら、コンセントから電源ケーブルを抜くようにしてください。停電復旧後の通電時に高い電流が流れる「サージ電流」によって機器が壊れてしまうリスクを防ぐためです。

電源タップにスイッチが付いている場合は、スイッチを切りましょう。壁や床に直接接続している場合は、忘れずに電源ケーブルを抜いてください。

4-4. 電力の回復

計画停電後、通電が始まってからすぐに各機器の電源を入れるのではなく、安定して電気が使用できるようになるまで15分ほど待ちましょう。

各機器の電源を入れる順番は、電源を切る順番と逆に行えば問題ありません。

計画停電前の機器の停止順
1.    UPS
2.    ルーターやONUなどのインターネット接続機器NAS
3.    ハブ・スイッチ・無線ルーター
4.    DNSサーバー・DHCPサーバー
5.    プリンター
6.    ADサーバー
7.    NAS
8.    ADサーバー・DNSサーバー・DHCPサーバー以外のサーバー
9.    クライアントPCおよび、それに接続されている機器

通電後には従業員が勝手に電源を入れることがないように、事前に電力回復後についても周知しておくといいでしょう。

まとめ

停電が原因で起こるNASのトラブルには、以下のようなものがあります。

●    HDDの故障/内部部品の損傷
●    ショートによる基板損傷
●    RAID構成・ファイルシステムの破損/制御システムの不具合発生

これらのトラブルによって、NASが起動しなかったりファイルにアクセスできなかったりといった症状が発生します。

NASにトラブルが発生した場合、次の順番で対処してみましょう。

●    ランプの状態や異音がないかを確認
●    1度だけ電源のオンオフをしてみる
●    NASに内蔵されているHDDをパソコンに直接つないでみる

ただし、これらは安全とは言いきれないリスクのある方法ですので、データを少しでも高い確率で取り出したい場合はすぐに電源を切ってデータ復旧業者に依頼してください。

NASのデータを停電から守るにはUPSの導入がおすすめです。また、日頃からこまめにNASのデータのバックアップもとっておきましょう。

計画停電の際には事前準備が必要です。各機器の電源の切り方や電源を切る順番を確認しておき、社内に周知するなど準備をしておきましょう。

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