メールの管理には、「メール アーカイブ」が役立ちそうと耳にしたことがあっても必要性がわからない、使いこなせないと思われる方も多いのではないでしょうか。
2017年9月にArcserveがユーザー向けに行ったアンケートでは、メールの長期保管(アーカイブ)が必要だと87%方が思っていらっしゃいましたが、実際にアーカイビングしているかたは29%という結果でした。多くの企業がアーカイビングの必要性を感じつつ、導入に至っていないというのが実情です。
メールの長期保管(アーカイブ)が必要だと87%方がいらっしゃった訳ですが、利用されていない理由は「高価」、「機能が不明」、「必要性がわからない」の大きく3つでした。これからこの3つを解決すべく、メールアーカイブの役割やメリットについて説明していきます。
目次
1.メールアーカイブとは
メールアーカイブとは、メールを保存する受信トレイ以外の場所にまとめて保存することを指します。
「アーカイブ(archive)」という言葉は、書庫や記録という意味をもち、必要な時にすぐに取り出せるように保管する目的で使われます。「データを元の場所から削除(移動)して別の場所に保管する」という意味で使われ、データを整理するために使われます。
アーカイブと類似する言葉として「バックアップ」があります。
よく例えにするのは、バックアップは写真で、アーカイブは動画という説明をしています。写真だと、2枚の写真の間に何か起きているか解らないですが、動画なら何が起きたかを知ることができます。ドライブレコーダーをイメージするとわかりやすいかもしれません。事故が起こってしまったときに、何が起こったのかの動画を証拠提出できますよね。メールアーカイブの場合も何か問題が発生したときに、証拠として提出するためにメールの動画を撮ります。
メールアーカイブとバックアップにはどのような違いがあるのか、さらに詳しく2章で比較してみます。
2. メールアーカイブとバックアップの3つの大きな違い
メールアーカイブは、メールの送受信をする度に、自動でメールデータを収集しメールシステムとは別の領域に確保します。ユーザーがメールを削除しても、アーカイブで保管したメールデータは、一切、影響を受けません。また、災害時にも別の領域に保存されたメールを参照することができます。
バックアップは、メールだけでなくさまざまなデータの損失やシステム障害/災害に備えるデータ保護であり、バックアップした時点に確実に復旧できます。
2-1. 保護対象
メールアーカイブの保護対象はメール(メールと添付ドキュメント)のみであり、システム/ファイル/データベースもちろん環境全体を守るためにはバックアップが必要です。Microsoft 365の場合でも、メール以外にパブリックフォルダに保存されたWordやExcelファイル、そしてOneDriveに保存された様々なデータがあり、それらを保護するためにはバックアップが必要になります。1章で写真と動画のたとえ話をしましたが、動画の方が全部映っているから良いと感じられたかもしれませんが、メールアーカイブは、メール部分だけの動画になります。
2-2. 削除メールの保管
メールアーカイブは、メールの送受信をする度に自動でメールデータを収集し、メールシステムとは別の領域に確保し、ユーザーがメールを削除してもアーカイブ保管したメールは、影響を受けません。
バックアップは、1日1回などスケジュールし、その瞬間を切り取って写真を撮るように保管するため、削除した後にバックアップされてしまうと、当然、削除したメールは保存されません。
また、退職者があった場合でもアーカイブならメールシステムからユーザーを削除しても過去メールを残すことができますが、削除後のバックアップでは削除ユーザーのメールを含めることはできません。
そのため、完全なメール記録を長期保管するためには、バックアップだけでは運用が困難になります。
2-3. 災害時の利用方法
メールサーバーの故障や災害などが発生した際、すぐにユーザーがメールを利用できるのは「メールアーカイブ」です。バックアップを利用するためにはメールサーバーの復旧、または管理者に依頼し必要なメールを部分的にリストアしてもらう必要があります。
ただし、メールアーカイブだけではメールサーバーやメールを送受信するためのクライアントPCといったシステムを復旧することはできませんので、システムに応じてメールアーカイブとバックアップの併用をお勧めします。
このように、メールアーカイブとバックアップには大きな違いがあります。では、メールアーカイブの目的とは? 3章では、メールアーカイブの目的を説明します。
3. メールアーカイブの主な3つの目的
メールアーカイブの目的は、主にコンプライアンス対策の強化です。その対策とは、
1.情報漏えいの抑止、
2.訴訟対策、
3.法令順守(電子文書保存義務化対応)
などがあげられます。リスクに対応するため、すべてのメールを過去にさかのぼっていつでも参照できる状態を整え、提示を求められたら情報を素早く提出できるようにします。日本国内の法律では、e文書法や、関税法、金融商品取引法などがあげられ、海外と取引のある企業は、SOX法や、eDiscovery法、GDPRなど海外の法律にも注意を払う必要があります。
また、すべてのメールが収集され保存されることで、従業員のセキュリティ意識も高まります。様々なハラスメントへの抑制効果も期待されています。
3-1. 情報漏えいの抑止
メールアーカイブは、すべてユーザーの送受信メールを一元管理でき、メールによる機密情報の持ち出しを防止できます。万が一、情報流出が発生した際には、メール履歴で実行した人物を特定することが可能です。すべてのメールが別サーバーに随時記録されていることが社内に周知されていれば、メールの不正利用の抑止にもつながります。
3-2. 訴訟対策
顧客、取引先や社員同士のトラブルなど、万が一訴訟問題が起きてしまった場合、裁判所から証拠としてメールの開示請求をされるケースがあります。このような場合でもメールアーカイブなら、全社メールから対象メールを検索し、証拠として提出できます。メールアーカイブはメールの送受信記録でありユーザーは記録されたメールに変更を加えることはできないため、信頼性の高いデータとして扱われます。
3-3. 法令順守
さまざまな法律で取引に関する電子メールの全文保存を義務化や推奨しています。長期保存と検索に長けるメールアーカイブを導入することで、電子データの保存管理補うことができます。
コンプライアンス対応のためには、単にすべてのメールの送受信を長期保管するだけではなく、役割に応じてメールのアクセス(閲覧)権が必要です。たとえば、経営層の方が全社員のメール閲覧できてしまっては、プライバシーの侵害や越権行為と言われたりします。メール閲覧の権利が認められるのは、メールをチェックする目的が業務内容の管理や情報漏えいのリスク対策など、業務上必要な範囲である事が前提です。
4章では、コンプライアンス対策のためにメールアーカイブをどこに保管するのが良いのか、お勧めの保存先について記載します。
4.メールアーカイブのお薦め保存先
企業で行うメールアーカイブは、どこに保管するのが良いのでしょうか。災害に備え、遠隔地に配置することを検討してください。ここでは、お客様環境(オンプレミス)に配置、パブリッククラウドに配置、ベンダーが提供するクラウドサービス利用の3つを比較すると、〇が多い「クラウドサービス」※がお勧めです。
クラウドのメリットは、ハードウェアの導入が不要で初期費用をおさえて遠隔地の利用ができるため、災害対策が簡単に始められることです。しかしながら、パブリッククラウドを利用するためにはクラウドの専門知識(設計から構築までネットワークなどノウハウ)が必要になります。そのため、構築日数も長くなりがちです。
クラウドサービスなら、構築済みのメールアーカイブ保存先を提供していますので、クラウドの専門知識をお持ちでない方でもすぐにメールアーカイブを始められます。
6. まとめ
今回、メールアーカイブについてご紹介しました。
メールアーカイブは、1章ではバックアップとの違い、2章ではメールアーカイブの目的をご紹介しました。メールアーカイブを導入すると、企業にとって多くのメリットがあります。
管理者の負担の軽減はもちろん、メール検索のスピードを向上することで全社員の業務効率のアップができると考えられます。メールの利便性を確保するためにもメールアーカイブの導入をお勧めします。
Arcserve Email Archiving、Arcserve Email Archiving Cloud は、2023 年 9 月 29 日 に販売を終了いたしました。
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