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BCP対策とは?3つの目的と策定手順を詳しく解説【対策に役立つサイト一覧付き】

BCP対策

BCP対策とは企業が地震や水害、テロ攻撃などの緊急事態に際して資産の損害を最小限に抑え、事業の継続を実現するための方法を定めた事業継続計画のことを言います。

災害やテロなどの緊急事態は常に突発的に起こり、企業の経済活動に壊滅的な被害を与えます。2011年の東日本大震災、2018年の台風や豪雨による大規模水害、さらに2020年にはコロナウイルスによる脅威が世界中を席巻しています。

特に事業規模が小さく経営基盤の脆弱な中小企業の場合、有事において適切な対応が取れなければ事業規模の縮小、従業員の解雇、場合によっては廃業に追い込まれることも珍しくありません。

そのような緊急事態に従業員やその家族、そして取引先や顧客を守るための必要不可欠な取り組みとして近年特に事業継続計画としてのBCP対策が近年注目を集めるようになりました。

そこで今回は

BCP対策とは
BCP対策における3つの目的
BCP対策を策定するための6つの手順
BCP対策担当者が見ておくべきサイト一覧

について詳しく解説していきます。

この記事を読めば、BCP対策を正しく理解し、それぞれの企業に合わせた適切なBCP対策を策定できるようになります。

1.BCP対策とは

BCP対策はどのような対策のことを指し、近年なぜ重要とされるのでしょうか。以下の3つのポイントから詳しく解説していきます。

BCP対策3つのポイント
BCP対策を理解する3つのポイント

一つずつ解説していきます。

1-1.BCP対策は緊急時に備えてつくる事業継続計画

BCP対策のBCPとはBusiness Continuity Plan、「事業継続計画」という意味です。つまりBCP対策とは、その名前の通り緊急事態下において事業の継続を図るための計画のことを指しています。

地震や津波、台風などの自然災害、戦争やテロ、コロナウイルスによるパンデミックなど、不測の事態は常に突然起こり、企業活動に深刻な被害を与えます。近年様々な災害に見舞われる機会を目の当たりにする中で、企業の有効なリスクヘッジ対策として、注目されるようになりました。

BCP対策とはこういった突然の事態による被害を最小限に抑え、緊急時下において企業活動を継続するために、あらかじめ作成しておく企業の活動指針であると言えます。

1-2.BCP対策は防災対策ではない

緊急時の対策と言うと、防災対策を思い浮かべる方も多くいるかもしれませんが、BCP対策は防災対策ではありません

防災対策とBCP対策は、もちろん共通する点もありますが、その目的は大きく違います

防災対策の目的

BCP対策の目的

・災害による被害を防ぐこと
・人命・財産の保護
・災害発生時に被害を最小限の止めること 

・緊急事態下で事業の継続を図ること

防災対策が人命や建物、資産をいかにして守るかを第一の目的としているのに対して、BCP対策はあくまでも緊急事態での事業継続に主眼が置かれています。

防災対策は企業活動の継続については想定されていません。設備の確保ができても、従業員や取引先、顧客との関係が崩壊すれば事業は継続することはできません。

もちろん事業を継続するためには「従業員や地域住民の人命を守る」「社屋や設備を守る」ことは大変重要です。この点は防災対策と同様ですが、BCP対策ではさらにそこから踏み込んで、顧客や取引先との関係を含めた事業活動の維持継続を最大の目的として対策が立てられることになります。

1-3.なぜBCP対策が重要視されるようになったのか

災害による業務の停止は企業の信頼を損ない顧客の流出や売り上げの減少に直結します。これを防ぐ対策としてBCP対策は企業における不可欠な取り組みとして認識されるようになりました。

BCP対策は欧米では1970年代から、日本でも1980年代には議論されるようになりましたが、特にその重要性が特に注目されるようになったのは2011年の東日本大震災です。

東日本大震災では被災した企業の多くが事業を継続することができず数多くの企業倒産が発生しました。

東日本大震災に関連する倒産は1946件に登りますが、事務所や工場が直接震災の被害を受けたことによる「直接型」の倒産は202に過ぎず、取引先や仕入先が被災したことによる「間接型」の倒産が1701件と全体の90近くに達しました。

企業活動の停止による企業活動の停止が予想以上に大きな被害を与えることを目の当たりにし、BCP対策が大きな注目を集めるようになりました。

BCP対策は、2018年の西日本豪雨、2019年の台風15号・19号などによる大規模水害の際にも、再び注目されることになります。

それまでの日本のBCP対策は地震への対応に焦点を当てて取り組まれてきましたが、地震だけでなく、豪雨・水害などの他の自然災害やテロなどに対する対策も必要であることが理解されるようになりました。

さらに2020年に起こったコロナウィルスの感染拡大によって「感染症」に対するBCP対策の重要性が注目されています。

2.BCP対策における3つの目的

BCP対策には事業継続を実現するという観点から、以下に掲げる3つの目的があります。

従業員と企業の資産を守る

BCP対策でまず重要となるのが、なにより従業員を守ることです。事業継続の観点からも従業員の生命と健康を守ることBCP対策において最優先で達成すべき目的であると考えられています。

事業を守る

事業を守ることは従業員とその家族の生活を守ること、さらに取引先の事業継続を助けることで地域経済への貢献にもつながります。

企業価値を高める

災害にあった際に倒産するリスクが高い企業との取引は、災害時の自社の事業継続を危険にさらすことになります。その意味でも災害に強い企業であることはビジネスパートナーを選ぶ上で重要な要素になります。その意味でBCP対策の策定は市場からの信頼を獲得し、企業価値を高めることに直結します。

BCP対策の策定では、これら3つの目的全てを満たす対策を立てることが重要になります。

3.BCP対策を策定するための6つの手順

ここからは実際にBCP対策を策定する手順を紹介します。BCP対策は以下の6つの手順で作成します。

BCP対策6つの手順
BCP対策を策定する6つの手順

一つずつ解説していきます。

3-1.基本方針の立案

基本方針は事業継続に対する自社の方向性や考え方を示すものです。この基本方針の従ってBCPの運用を推進するための社内の体制が整えられていきます。

基本方針の立案は以下の手順で行いましょう。
①BCP基本方針の策定メンバーの選出
自社の事業継続に対する方針を議論し文書にまとめる

①BCP基本方針の策定メンバーの選出

BCP対策は防災対策と違い、総務課や防災担当だけで策定することはできません。その意味で基本方針を策定する上でメンバーの選出は重要です。

災害時に事業を継続するためには、組織内の全ての部署がそれぞれの役割に応じて適切に各自の役割を担う必要があります。その意味でも各部署の役割と実情を把握する担当者をバランスよく選ぶ必要があります。

②自社の事業継続に対する方針を議論し文書にまとめる

策定メンバーが決定したら、自社の事業戦略や経営方針に基づき、BCP対策基本方針の策定を行います。

基本方針は自社の事業継続に対する基本的な考え方を示すものであり、取引先企業も含めた事業継続の実現を目指すものである必要があります。この点を踏まえての議論をこころがけましょう。

中小企業庁がBCP対策の普及促進を目的にまとめられた「中小企業BCP策定運用指針」の中では、基本方針の作成にあたり以下の4つのポイントを上げています。これらのポイントをおさえることで、適切なBCP対策の方針を定めることができます。

・企業同士で助け合う

緊急時においては、取引のある企業や会社のある周辺地域の企業と一緒に、協力して事業継続を目指す

・緊急時であっても商取引上のモラルを守る

緊急時であってもできる限り取引先に日常の発注を維持し、支払いも予定通り行う。便乗値上げを行わないなど、企業の信頼が損なわれる行為は行わない。

・地域を大切にする

地域住民や自治体と協力し、被災者の救助、地域貢献に努める。

・公的支援制度を活用する

公的金融機関による緊急時融資制度や特別相談窓口などの制度は積極的に活用する

3-2.優先的に継続・復旧する中核事業の選定

BCP対策の策定で重要なのは継続すべき事業の選択です。有事の際に活用できる事業資源は限られています。企業活動を維持するためには復旧すべき事業を絞り込み、復旧の目標を立てることが大切です。

継続すべき事業の選定にあたっては 
・会社の売上に寄与している中核事業は何か
・事業が停止した際、最も損害の大きい事業は何か
・市場のシェア、会社の社会的な評価を維持するために最も大切な事情は何か

これらのポイントを考慮しましょう。

3-3.中核事業の復旧時間の目標を定める

継続すべき中核事業が確定したら事業復旧までの目標復旧時間(RTO)を決めますRTOとは、Recovery Time Objectiveの省略で、事業が中断した際、いつまでに事業を復旧するかという目標時間を表す指標です。

目標時間の復旧は業務停止の影響と許容範囲、また現実的な復旧にかかる時間の両方を考慮して決定する必要があります。

例えば従業員の安否確認には1日、電力供給が停止した場合、最大で6日程度の時間が必要とされています。こういった人的資源やインフラの復旧状況に加え、原材料の在庫、取引先や顧客への影響の大きさなどを具体的に評価し、現実的に目標時間を設定する必要があります。

3-4.リスクシナリオの策定

次にリスクシナリオを策定します。リスクシナリオとは、どのような緊急事態が起こるか、そして具体的な損失の大きさや被害の内容を具体的に予測して作成するシナリオのことを言います。

リスクシナリオは以下の2つの要素を明確にすることによって作成します。
緊急事態の原因(地震・水害・台風・疫病など)
緊急事態によって引き起こされる結果(建物や設備の損害・人的被害・物流の停止など)

想定でできる災害によって、また災害の規模によっても被害の質や大きさは大きく変化します。例えば台風と地震では想定される設備の被害状況は大きく変わります。もちろん津波を伴う地震と直下型の地震でも被害の質は大きく変わってきます。

リスクシナリオの作成においては、そういった様々な被害のケースを想定し、それぞれのケースに対して現状の自社の施設や事業環境にどのような被害が発生する可能性があるかをシミュレートしながら作成することが大切です。

3-5.対策案を策定する

次にリスクシナリオを元に対策案を作成します。

対策案の策定で重要なのは事業の復旧を阻むボトルネックの洗い出しです。災害からの復旧を行う際に、最大の問題となる障害(ボトルネック)を特定し、それに対する対策を具体的に検討します。

また、対策案は想定される災害応じて、長期的対策と短期的対策に分けてそれぞれに検討する必要があります。

3-6.策定した対策を周知し緊急事態に備える

対策の策定で、BCP対策は終わりではありません。次に必要なのは従業員を含む関係者への周知です。

BCP対策が策定されても、その情報を共有できていなければいざという時に何の役にも立ちません。裁定した内容をしっかりと周知し、継続的に訓練を実施する必要があります。

情報を共有する範囲は社内の従業員だけではありません。顧客や取引先企業、会社が所属する地域の自治会など、BCP対策を実現する上で協力が必要となるすべての関係者に周知し、対策の共有を行いましょう。

 4.「中小企業BCP策定運用指針」の活用がおすすめ

「中小企業BCP策定運用指針」は中小企業庁が中小企業のBCP対策の普及促進を目指して作成したウェブページです。

運用指針は「入門」「基本」「中級」「上級」の4つのコースに分かれており、企業の規模や策定者の練度にあわせて、たいへんわかりやすく解説されています。

BCP対策の記入シート書式なども用意されており、これからBCP対策を一から作成する人には大変便利なページになっています。

またページでは、そのほかにもBCP対策のさまざまな資料のダウンロードリンクやBCP対策の策定のためのチェックシートなども用意されていて、これからBCP対策を策定しようと考えている企業や担当者の方には大変便利なサイトです。

公式ページ:中小企業BCP策定運用指針

5.BCP対策担当者が見ておくべきサイト一覧

ここからはBCP対策の策定に役立つ、ウェブサイトやページを紹介します。いずれもこれからBCP対策を立てたい人に役に立ついサイトばかりです。

ぜひご確認ください。

5-1.中小企業庁ホームページ|経営サポート「経営安定支援」

こちらも中小企業庁のホームページです。中小企業がBCP対策を策定する際に活用できる支援や情報をまとめ、紹介しているページです。災害時に受けられる支援なども詳しく紹介もされており、BCP対策を策定する上で、たいへん便利なサイトです。

ページ下部には、これまでに中小企業庁が策定したBCP対策策定に関わる冊子をPDF形式でダウンロードすることもできます。

公式ページ:中小企業庁ホームページ|経営サポート「経営安定支援」

5-2.事業継続計画策定ガイドライン(経済産業省)

経済産業省が作成したBCP対策策定のガイドライン(PDF)です。BCP対策の基本的な考え方から、検討項目、計画の立て方、ケーススタディまで、わかりやすく網羅されています。

BCP対策の概要を把握する上で、大変役に立ちます。

公式ページ:事業継続計画策定ガイドライン|経済産業省(PDF)

5-3.東京都中小企業振興公社|BCP対策支援ポータル

東京都中小企業振興公社ではBCP対策作成支援を積極的に行なっており、ページではBCP対策に対するセミナーの紹介や、コラムや活動報告を通じた、BCP対策の策定に役立つ情報の提供を行っています。

公社のサポートを利用して実際にBCP対策を作成した企業の紹介もあり、これからBCP対策の作成を検討している企業には大変参考になります。

東京都中小企業振興公社では、BCP実践促進助成金の申請の案内も行っており、ページから募集要項や申請書をダウンロードすることもできます。

公式ページ:東京都中小企業振興公社|BCP対策支援ポータル

公式ページ:東京都中小企業振興公社|BCP実践促進助成金申請案内

5-4.日本商工会議所|中小企業・小規模事業者のための事業継続計画(BCP)作成シート

こちらのページからは日本商工会議所がBCP対策策定のために作成した『中小企業・小規模事業者のための事業継続計画(BCP)』作成シートをダウンロードすることができます。

作成シートはエクセル形式で使いやすく、順を追って入力していくだけで基本をおさえたBCP対策を策定できる大変便利なシートです。

公式ページ:日本商工会議所|中小企業・小規模事業者のための事業継続計画(BCP)作成シート

6.BCP対策のバックアップならArcserveがおすすめ!

災害時に設備や施設が、復旧したとしても社内システムの復旧がなければ、事業自体を元どおりに復旧することは決してできません。この意味でもBCP対策の策定、実行においてデータのバックアップは欠かせない要素であると言えます。

Arcserveは35年間にわたってバックアップと災害復旧ソリューションに携わってきた専門ベンダーです。積み重ねた経験を生かし、有事におけるデータ保護と事業継続性に重点を置いた、最適なバックアップ/リカバ・リソリューションを提供します。

あらゆる環境におけるニーズを満たすバックアップソリューションArcserve UDP

Arcserveが提供するArcserve Unified Data ProtectionUDP)は災害などの緊急事態に的確に対応する統合バックアップ/リカバリ・ソリューションです。

・災害発生時にバックアップデータを自動的に遠隔地に転送しデータを守る

・バップアップデータからか仮想マシンを自動生成し迅速な時事業再開を実現

など、緊急時におけるBCP対策の実行を円滑にサポートする様々な機能を備えています。

Arcserve UDPについて詳しい情報は以下のリンクからご確認ください。

Arcserve UDP
Arcserve UDP 製品アイコン

さらにご興味のある方は、以下のページも是非ご確認ください。

Arcserve UDP 無償トライアルのダウンロードページ 
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まとめ

いかがだったでしょうか。
今回はBCP対策について解説しました

BCP対策は災害などの緊急事態に対応するために作成される事業継続計画であり、防災対策とは別に策定する必要があります。
またBCP対策における3つの目的についても解説しました。

・従業員と企業の資産を守る
・事業を守る
・企業価値を高める

BCP対策の作成ではこれら3つの目的を全て満たす対策を立てることが大切です。
さらにBCP対策の策定手順として以下の6つの手順について解説しました。

・基本方針の立案
・優先的に継続・復旧する中核事業の選定
・中核事業の復旧時間の目標を定める
・リスクシナリオの策定
・対策案を策定する
・策定した対策を周知し緊急事態に備える

またBCP対策を策定する上で参照すべきサイト、バックアップの重要性についても詳しく紹介しました。
この記事が、あなたの会社のBCP対策策定の一助になることを願っています。

 

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