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製造業のBCP対策とは?何から手を付けるべきかポイントを解説

「製造業でBCP対策をしたいけど、どうすればいいかな?」
「何から手をつけていいか分からない…」

このように、製造業のBCP対策についてお困りではないでしょうか。

製造業のBCP対策では、自社の重要な商品の製造をストップさせないようにすることが一番のポイント、と覚えておくと理解しやすいでしょう。

製造業のBCP対策とは

そのために、資源の確保や機械が倒れて壊れないよう固定するなどの防災対策、停電に備えた発電装置の設置など、さまざまな対策をしておく必要があります。

製造業では、BCP対策をしっかりしておかないと、工場や機械が破損して修繕費が高額になったり、事業再開の目処が立たず大事な取引先から打ち切られたりと、大きな損害が出てしまいます。

製造業は被災した際のダメージが大きいため、被害を最小限に食い止めるために、BCP対策をしっかりとしておく必要があります。

そこでこの記事では以下のことを解説していきます。

この記事で分かること
・製造業のBCP対策とは
・製造業のBCP対策で重要なポイント
・製造業におけるBCP対策の事例
・製造業のBCP対策を策定する流れ
・製造業でBCP対策を成功させるための注意点

この記事を最後まで読むと、製造業のBCP対策をどのようにすればよいかが分かり、BCP対策を策定できる段階に入れます。

製造業のBCP対策について知りたいという方は、ぜひ最後までご覧ください。

1. 製造業におけるBCP対策とは

まずはBCP対策とは何なのか確認し、そのうえで製造業において意識するべきポイントを押さえましょう。

BCP対策とは、事業継続計画(Business Continuity Plan)を略した言葉です。

地震や津波などの自然災害や、感染症などの危機に遭遇した際に、損害を最小限に抑えながら事業を継続させるために、日ごろから緊急時にとるべき対策のことです。

冒頭でも述べたように、製造業でのBCP対策では、製造・販売する商品が会社の生命線のため、その商品の製造をストップさせないようにすることが重要です。そのために、機械の管理・部品の確保・人材の確保・建物の防災などさまざまな対策が必要となります。

製造業のBCP対策とは

製造業は災害時の損害が大きくなるので、BCP対策を特にしっかりとしておく必要があります。

例えば、災害や感染症などの危機に遭遇した際、製造業では以下のようなリスクが想定されます。

・大規模地震が起きて機械が倒れて使用できなくなる。
・地震で機械が壊れて製造ができなくなり、数ヶ月間作業がストップ。取引先からも切られ、新しい機械の購入に膨大な費用がかる。
・建物が崩れ、建物自体の修復に数ヶ月間かかる可能性。その間、作業もストップしてしまう。
・製造に必要な部品の仕入れ先が被災し、部品の供給が止まり、自社も作業がストップしてしまう。
・機械の修理代が必要だが、修理できるほどのお金がなく、修理ができずに再開の目処が立たない。

もしもに備えたBCP対策をしっかり行い、損害を最小限に抑えられるようにしておきましょう。

2. 製造業に必要なBCP対策の8つのポイント

製造業に必要なBCP対策のポイントについて、それぞれ解説していきます。

2-1. 従業員の安全確保と安否確認体制を整える

まずは従業員の安否確認の体制を整え、従業員の安全確保を行います。これは最重要ポイントなので、はじめに策定しておきましょう。

従業員の命を守るために、一刻も早く取り決めをしておく必要があります。
また、事業をいち早く復興するためにも従業員の力が必要となるからです。

2-1-1. 安全確保

まずは安全確保についてです。

大きな工場であれば従業員の避難ルートをあらかじめ確認しておきましょう。

大きな工場は従業員の数も多いため、皆が一斉に1つの出口に殺到したら、逃げ遅れる人が出てくる可能性があります。また、パニックになり群衆雪崩が起こるなど、二次被害の危険もあります。

そのため、工場のエリアごとに避難ルートを決める、火災が起こった場合は出火場所に応じて避難出口を決めるなどの確認をしておきましょう。

2-1-2. 安否確認体制

次に安否確認体制を整えましょう。
安否確認の方法としては、このような方法があります。

・安否確認システムを使う
・電話やメールを回す
・SNSやビジネスチャットツールを使う

この中で特におすすめなのは、安否確認システムを使うことです。その理由は、災害時にスムーズに連絡が取れ自動集計してくれるのでいち早く従業員の安否確認や連絡が可能だからです。

メールや電話は災害時に繋がりにくくなかなか連絡が取りづらいですし、ひとりひとりの安否の状況を集計しないといけないのでとても大変です。災害時は混乱していますし、ご自身や周りのスタッフもいち早く避難する必要があります。

安否確認システムの導入には費用がかかりますが、スムーズな連絡で従業員の命を守り、緊急時に他のことに時間を回せるので、導入は検討するべきでしょう。

このように、まずは従業員の命を守る対策が大事です。安否確認や連絡をどのように行うかを決めておくことで、緊急時に素早く対応し、従業員の命を守ることができます。

従業員の命を守ることは、第一優先事項なので、あらゆるシチュエーションを想定して対策をしておきましょう。

2-2. 業務のデータを分散化

次に業務のデータを分散化しましょう。

データは一度失くしてしまうと復旧することができないので、データの管理も非常に重要です。特に工場や事務所など一ヶ所にデータを保管しておくと失うリスクが大きいので、分散させたり、クラウドへの保管を検討するべきでしょう。

例えば、パソコンやハードディスクにデータを保管している場合、その工場が火事で全焼してしまうと機器が壊れ、データがすべて無くなってしまいます。紙ファイルなどでデータ管理をしている企業も、同様にデータを失う危険が高いです。

おすすめはデータをクラウドで保管することです。データをクラウドに保管にすると、会社や工場が被災してもデータを守ることができます。大事なデータを守るためにも、導入は早めに検討しておきましょう。

また、最近はランサムウェアなどによる被害が増えていることから、サイバー攻撃を想定したデータ保護対策も必要です。業務で重要なデータがあるサーバーは、バックアップを取り、テープやクラウドなどの二次保管先も検討しましょう。

2-3. 優先的に継続する業務の選択

もし災害が起こった時のために、どの業務を優先して行うか決めておきましょう。こちらも非常に重要なポイントです。継続する業務というのは、商品のことを指します。

災害後にすぐに業務再開できたとしても、人手不足や部品調達の遅れが懸念されるので、すべての業務を再開させるのは難しいでしょう。そのため、優先的に継続させる業務(商品)を決めて、それだけはすぐに再開できる体制を整えておくことが大事です。

継続する業務を決める際は、これらのことを踏まえて考えるといいでしょう。

・優先度の高い取引先か
・自社の今後の展開に大きくかかわっているか

「今、利益が高く出ているから」という目先のことで業務を選ぶのではなく、今後の展望や取引先との関係を見て、総合的に選ぶようにしましょう。

2-4. 防災対策

次に、防災対策を定期的に行っておくことです。

工場や機械が欠損すると、修理代がかかることはもちろん、業務再開が遅れ、取引先に迷惑が掛かってしまいます。その結果、取引先から契約を切られ、修理代はかかり、工場の閉鎖に追い込まれてしまったケースもあります。工場や機械が壊れると損害が大きくなりやすいので、損害を最小限に抑えるための防災対策を行っておく必要があります。

製造業での防災対策は、例えば、以下のようなことがあります。

防災対策の一例
・建物の耐震構造を調べて、耐震強度を強くする
・防災設備の導入をする
・停電に備えて太陽光発電など自家発電の装置や蓄電設備を導入する
・地震で機械が倒れて壊れないように、固定しておく
・バックアップや遠隔地保管

被害や修理費を最小限に抑えるためにも、防災対策をしっかりしておきましょう。

2-5. 資源や取引先の分散

資源や取引先を分散させておくことも重要です。

資源や取引先が1箇所など限られている場合、その資源や取引先も被害を受けてしまった場合、部品などの供給がストップする危険があります。資源や部品が届かないと業務再開できないため、共倒れになってしまう可能性があります。

そうならないようにするためにも、資源や取引先は分散させておく必要があります。

例えば、資源を保管しておく倉庫を離れた複数の場所に分散させておきます。そうすると1ヶ所が被災して資源が無くなったとしても、他の場所から資源を確保でき、業務がストップすることはありません。同じく取引先も分散させておくことで、自社の業務が止まるといったリスクを抑えることができるのです。

部品の調達は製造業にとって非常に重要ですので、資源や取引先が被災することを考えて、分散して資源の確保をしましょう。

2-6. 代替工場の確保

次に代替工場を確保しましょう。

被災して工場が再開不能となったり、大規模な修繕が必要で再開の目処が立たなくなったりすると業務を再開できません。その場合に備え、代替工場の確保が必要です。

例えば、以下のような対策があります。

・自社内の別拠点でまかなえるようにしておく
・緊急時にお互いに支援し合う工場と協定を結ぶ

工場がいくつかある企業であれば、別の拠点で補うことができます。しかし、工場が1つだけの企業の場合は、他の企業と協定を結び、お互いに支援し合う体制を整えておきましょう。

2-7. 代替設備の確保

代替工場の確保とともに、代替設備の確保も必要です。

建物の被害は免れても、機械などの設備が壊れてしまってはすぐに業務再開できません。そのため、平常時から代替設備をどう確保するかも検討しておきましょう。

例えば、以下のような方法があります。

・地震で設備が壊れないよう、固定しておく
・津波の危険がある場合は、作業場所を2階に移すなど高台に移動する
・拠点が2つ以上ある場合は、別の拠点で補えるようにする
・他の設備で転用できるような設備を用意しておく
・いざという時は他の企業に業務を依頼する協力体制を整えておく

このように、代替設備を確保し製造がストップしないよう対策しましょう。

2-8. 緊急時に必要な資金の確保

緊急時に必要な資金の確保もしておきましょう。

災害が発生すると、建物や機械の修繕費、部品を追加調達するなど、思いもよらぬ出費が発生する可能性が高いです。会社を継続させるために、いち早く業務を再開させなければいけません。そのためには、いざという時に出せる資金を確保しておく必要があります。

例えば、以下のような資金が必要です。

・建物や機械の修繕費
・新しく機械を購入する機械代
・資源がすべてなくなった時の資源調達代
・その他にもいろいろと費用が発生した時のための現金

災害が発生すると思いもよらぬ出費がかさみます。会社を継続させるためにも、いざという時の資金をしっかり確保しておきましょう。

3. 製造業のBCPを策定する流れ

ここでは製造業におけるBCPを策定する流れについて解説していきます。こちらは「中小企業BCP策定運用指針・第2版」を元にしています。

BCPの策定は以下のステップで進めます。

それぞれ確認してみましょう。

3-1. BCPを策定する目的を考える

BCPを策定する目的を考える

まずはBCPを策定する目的を考え、基本方針を立てていきます。

「どうしてBCPを策定するのか?」
「BCPを策定・運用することにどのような意味合いがあるのか?」

を検討し、基本方針を決めます。基本方針は、会社の経営方針の先にあるもので、BCPを策定する目的となります。

例えば、以下のようなことがあります。

・従業員の安全を守りたい
・自社の経営を維持したい
・供給をストップすることなく、顧客に迷惑をかけたくない
・従業員の雇用を守りたい
・地域経済の活力を守りたい

会社の経営方針を再確認し、「何のためにBCPの策定をするのか?」を明確にしましょう。

3-2. 自社で重要な商品やサービスを検討する

自社で重要な商品やサービスを検討する

次に、自社で重要な商品やサービスを検討していきます。

災害時は人員や資源の確保が難しいことが予測され、平時の業務をすべて行うことは不可能です。そのため、事業を継続させていくためにも優先すべき業務を決めておく必要があります。

「1. 製造業におけるBCP対策」でお話しした以下の項目を参考に、自社で重要なサービスや商品は何かを検討しましょう。

・優先度の高い取引先か
・自社の今後の展開に大きくかかわっているか

最優先すべき重要商品が決まったら、その業務を行うための資源や設備は何が必要かも洗い出し、資源の確保や設備をどう守るかを検討します。

3-3. 災害を想定し被害状況をイメージする

次に災害を想定して被害状況をイメージし、リスクの順位づけをしていきます。

もし災害が起こった場合に、あなたの会社に実際にどのような被害が及ぶかを具体的にイメージすることで、BCP対策の内容がより充実し、被害を最小限に抑えることができるのです。

また、想定したすべての被害に完璧に対策しようと思うと大変です。そのため、想定した被害の中で自社へのリスクが大きいものから順位付けし、BCP対策を策定する際の参考にするのです。

具体的には、以下の「人・情報・物・金」の4つの項目に影響があると想定されます。

「人・情報・物・金」の4つの項目

出店:中小企業庁が想定した大規模地震による被害の一例

このように実際に被災したらどのような被害が及ぶかをイメージしていきます。その中で、自社にとってリスクのあることはどれか重要度を見て、策定する順番を決めていきます。

上表は大規模な地震による被害を想定していますが、台風が来やすい地域や土砂崩れが起きやすい地域など、自社の状況に合わせてイメージしましょう。

3-4. BCPを策定する

被害状況のイメージができたら、いよいよBCPを策定していきます。

先ほど被害をイメージしてリスクの順位付けができたので、そのリスクの大きいものから対策を練っていきましょう。特に、最優先すべき重要商品は何か・それを作るための資源や設備は何が必要かを考え、資源の確保や設備をどう守るかを検討します。

どのようなポイントで策定していくかは、前章の「2. 製造業に必要なBCP対策の8つのポイント」で解説したこちらのポイントを参考にしましょう。 

ここでも、『「人・情報・物・金」の4つの項目から考えると実際に策定しやすいです。』

製造業のBCP対策で行うべきポイント

このように事前対策の実施を検討し、自社で確保できない場合は同業他社と協力体制を持つなどしながら、対策を打っていきます。

ここまででBCPの策定ができました。

3-5. 緊急時にBCPを実行できる体制を整える

BCPの策定ができたら、緊急時に実行できる体制を整えます。いざという時にスムーズに実行できなければ意味がないので、体制を整えることも重要です。

具体的には以下のようなことを決めます。

・BCPを実行、指示する責任者を決める。
・責任者が不在の時のために、代理の責任者も決める。
・誰が何をするかなどの実際のワークフローを作成する。

こういったBCP対策を正確に運用していくための体制のことをBCM(事業継続マネジメント)」といいます。こちらについては、5章の「5-2. BCPを最大限に活用するためにBCMも一緒に策定する」をご覧ください。

4. BCP対策の事例

ここでは、BCP対策の事例をいくつか紹介していきます。先ほど解説した「BCPを策定する流れ」に沿って確認していきましょう。

ご自身の会社に似た業種やシチュエーションの会社の対策を見つけて参考にしてみてください。

4-1. 【製薬会社の事例】大草薬品株式会社

製薬会社である「大草薬品株式会社」のBCP対策について紹介します。

「大草薬品株式会社」は、漢方製薬剤などの製造・販売をしている会社です。本社が神奈川県の三浦半島にあり、大規模な地震やそれに伴う津波の心配があります。

事業情報
対象事業胃腸薬、便秘薬の製造・販売
対象リスク大規模地震・津波
対策・事業継続検討委員会(災害対策本部)の設置
・設備機器、市薬品などの転倒、落下防止対策
・防災訓練の実施、津波襲来時の避難計画周知
・GMP基準を満たす製造の再開

実際にどのように策定されたのか見ていきましょう。

1.策定する目的を決めるお客様の健康のため、品質の高い医薬品製造の継続を目指す
2.重要な商品を検討する災害時に需要の高い胃腸薬・便秘薬
3.被害状況をイメージする大地震や地震に伴う津波の被害が想定される。
それによって、本社工場の一部損壊や施設設備の損傷、ライフラインの一時的停止が想定される。
4.BCP対策を策定する三浦半島の南部に位置していることから、始めに 「webよこすかわが街ガイド」を参考に震度や津波、 標高などの災害リスクを調査。

また敷地内 の施設・近隣の状況、製造・検査・出荷など、現場の再 確認も実行。
 
同社は製造拠点が1ヶ所のため、代替拠点での対応が困難であり、現拠点で事業継続を行うためには どうしたらよいかを基本に検討。

従業員の生命の安全を第一に、会社の財産を守るためにも防災・減災を優先して行い、事業継続へつ なげることにした。

また備品類や薬品類は転倒・落下が予想されるため、従業員の参加と協力による改善、避難通路の確保や初期消火をスムーズに行えるような計画にした。

5.実行できる体制を整える従業員全員への教育・訓練・計画の充実を進めていくことを検討

参考資料:神奈川県BCP作成事例集

4-2. 【機械部品製造会社の事例】株式会社 常盤製作所

次にエンジンの機械部品を作っている「株式会社 常盤製作所」の事例です。

「株式会社 常盤製作所」では、農林業で使用される仮払機・チェーンソー用エンジンの機械部品を作っています。素材の調達から完成品まで一貫作業を行っています。

事業情報
対象事業小型汎用エンジン用機械部品
対象リスク地震
対策・損傷状況の迅速な確認と対応判断(自社修理、業者修理)
・主力製品の早期立ち上げのための優先順序の決定
・新潟工場との連携の強化

実際にどのように策定されたのか見ていきましょう。

1.策定する目的を決める主要製品の出荷をストップさせない
2.重要な商品を検討する
3.被害状況をイメージする・工場は建物が一部破損
・外注工場の建屋崩壊による運転停止
・装置の破損、故障、製品
4.BCP対策を策定する新潟工場と本社工場(鎌倉)が同時に被災することは考えにくいが、新潟工場は下請け的な存在 になっているため、本社工場が被災した場合、製品 の出荷が停止してしまう恐れがある。

工場のバックアップの機能が働いていないので、主要製品を中心に問題点と対応策を検討した。

本社工場が外注しているプレス加工は、同エリア のため外注先の建屋が崩壊する可能性がある。 復旧に時間がかかる場合は、新潟工場に金型を輸送し、新潟工場でプレス加工もできる体制を検討。

特殊溶接による部品の製作については、今後、溶接機を新潟工場に導入し、新潟工場でも製作できるようにした。

研摩加工については、センターレス研摩機を新潟工場にも導入。 ピストン加工の専用機は、顧客からの貸与設備のため、この機械の安全確保と停止期間を最小に抑える必要がある。災害が発生した場合は、メンテ ナンス会社に最優先で復旧作業を依頼する予定。

また、社内メンテナンスを行えるよう社員教育も計画。
生産停止日数を基にして復旧作業開始のタイミングを明確にした。

5.実行できる体制を整える従業員全員への教育、訓練を進めていくことを検討。

参考資料:神奈川県BCP作成事例集

4-3. 【バネ工場の事例】沢根スプリング株式会社

次にバネやワイヤーの加工品の設計・製造・販売をしている「沢根スプリング株式会社」の事例です。

「沢根スプリング株式会社」は、同社のスポット品を扱う顧客が国内に3万社以上もいることから、被災時に供給を止めないよう備えが必要と考え、BCP対策を策定しています。

事業情報
対象事業バネやワイヤーの加工品の設計・製造・販売
対象リスク地震・津波
対策・被災時の安否確認
・社屋、機械装置などの事前対策
・災害時相互応援協定の締結・被災時資金繰り
・地域貢献・BCP対策の従業員への教育、訓練

どのように策定されたのか見ていきましょう。

1.策定する目的を決めるお客様や従業員の安心・安全
2.重要な商品を検討する各種ばね・コイル及び関連製品の製造販売。売上の6割を占める小ロット注文を優先に実施。
3.被害状況をイメージする・地震による建物毀損
・津波による建物浸水
4.BCP対策を策定する【被災時の安否確認】  
安否確認では、クラウド型の安否確認システムを導入し、社員とその家族を確認の対象としている。また、安否確認操作のポケットマニュアルを作成し、社員とその家族に配付している。

【社屋・機械装置等の事前対策】  
津波・浸水への配慮として、製造設備を1階だけでなく2階にも設置。 地震の揺れに対応するため、強固な設備固定を専門業者に依頼。また、棚の転倒及び書類の散乱を防止するため、事務所内の棚を埋込式とし、重要なサーバー類は免振対策を施した。  
自社給電としての太陽光発電を設置した。また、井戸水も利用できるようにしている。

データが正確にバックアップされているかどうか定期的に確認している。

災害が起きた際の参集条件(震度5強以上、大津波警報、火災など)、参集場所(会社2階の執務室)、参集者(会社近隣の社員)を予め決めている。

【災害時相互応援協定の締結】
県外5社の企業と災害時相互応援協定を締結し、支援協定の実効性を図るため、交流や定期的にゴルフコンペを行うなど親睦を図り、顔の見える関係を構築している。

【被災時資金繰り】
静岡県信用保証協会の勧める「BCP特別保証」の内定を受け、 BCP策定企業に対する激甚災害発生時の復興資金や運転資金の確保を行った。

【地域貢献】
津波を想定し、工場屋上を近隣住民の避難場所として提供している。夜間や休日でも屋上に避難できるよう外階段を設置した。
災害時は同社で所有している投光器やトラックは地域住民に活用してもらう。

5.実行できる体制を整える教育・BCP委員会を2ヶ月に1回開催している。委員会メンバーはBCP策定チーム同様に、社長の他に、総務、製造の各部門から会社近くに在住している社員により構成。

平時だけでなく有事の際の社員の役割分担も決めており、同じ役割の社員同士で定期的にミーティングを実施している。

毎年9月に社員全員を対象にした防災訓練を行っている。毎年テーマを決めて実施しており、平成30年は停電がテーマに行われた。

また、社員全員を対象にした安否確認の訓練を年4回実施している。

参考資料:静岡県災害対応BCP事例集より

5. 製造業でBCP対策を成功させる注意点

製造業におけるBCP対策が理解できるようになってきたところで、成功させるための注意点について解説していきます。

注意点は以下の3つです。

製造業でBCP対策を成功させる注意点

それぞれ確認していきましょう。

5-1. 完璧を目指さすより全体を作りきる

完璧を目指さより全体を作りきる

まずは、完璧を目指さず全体を作りきるということを意識しましょう。

始めからさまざまな被害を想定して、すべてのリスクに応じた対策を立てることは難しいです。完璧な対策を目指すあまり時間がかかってしまい、その間に災害が起こってしまっては本末転倒です。

自社にとって重要な対策を優先して、早く策定していきましょう。

5-2. BCPを最大限に実行するためにBCMも策定する

BCPを最大限に実行するためにBCMも策定する

BCPを最大限に実行するために、一緒にBCMも策定しておきましょう。

【BCM(事業継続マネジメント)とは】

BCM(事業継続マネジメント)とは、BCPの策定・運用・改善までのマネジメント全般のこと

しっかりとBCP対策を策定していても、いざという時にパニックになり実行できなければ意味がありません。BCPの策定と同時にBCMも検討し、一緒に実行させていくことで、BCPを最大限に実行できるのです。

実際に、BCP対策をしっかりと策定していても、BCMを構築していなかったために、被害が出ているケースもあります。

【幼稚園の送迎バスの事例】

こちらの事例では、幼稚園バスが津波に巻き込まれ5名が犠牲になっています。

幼稚園は防災マニュアルは作成していましたが、職員への徹底した周知や訓練、マニュアルの定期的な見直しといったBCMの対策が不十分でした。
そのため実際に大規模地震と津波が起こった際に、防災マニュアルをうまく活用できず、被害が大きくなりました。

この事例では、防災対策の運用が不十分だったとして、和解金計6,000万円を支払って和解しています。

BCM対策をしていないと、せっかくBCP対策を策定していてもうまく活用することができないので、一緒にBCM対策の構築もしましょう。

BCMの活動には、以下のようなことがあります。

BCP対策の教育企業全体、従業員ひとりひとりにBCPを定着させるため、BCPの勉強会やセミナーを定期的に実施していきます。
訓練の実施災害時にスムーズにBCP対策を実行できるよう、日頃から定期的に訓練を行います。また訓練を行うことで、よりイメージしやすくなり改善点が新しく発見できます。
BCPの見直し定期的にBCPの内容を見直し、アップデートしていきます。事業内容の変更追加、取引先の変更などがあれば、それに応じてBCP対策も変更点がでてきます。敵的な見直しにより、そういった変更点がないかをチェックしていきましょう。
BCPの改訂訓練や見直しによって見つかった変更点をもとに、BCPの改訂を行っていきましょう。

もしもの時にBCP対策が役に立ち、被害を最小限に抑えるためには、BCMの運用が必要なのです。

5-3. データ損失に注意

データの損失に注意

次にデータ損失に注意しましょう。

もし工場や機械が壊れてしまっても、費用はかかりますが復活させることができます。しかし、データは一度失われてしまうと、もう二度と復活させることができません。そういった面で考えると、データを守るということは非常に重要なことなのです。

しかし、実際の現場ではまだまだデータ管理の意識が薄い現状があります。ある調査では、コストや時間がないという理由でデータのバックアップを取っていないという課題が見えました。

建物や機械の防災対策、重要な商品をストップさせないことも重要ですが、そのためにはデータの保管も非常に重要です。BCP対策の1つとして、データの保管対策もしっかり行いましょう。

6. BCP対策としてデータ保護は、Arcserveへご相談ください 

BCP対策のデータ保護は、Arcserveへご相談ください

ここまでの流れで、製造業では製造をストップさせないようにすることが大事だと解説してきました。その一環として、データの保管も非常に重要です。

BCP対策としてデータ保護を検討されるのであれば、Arcserve へご相談ください。

前述したように、データは一度失われてしまうと、もう二度と復活させることができないので、バックアップをとりデータが失われないように保管しておく必要があります。

BCP対策でデータ保護を検討されている場合は、Arcserve のデータ保護ソリューションをおすすめします。おすすめの理由はこちらです。

・【機能面】機能が豊富でさまざまなニーズに応える
・【価格面】シンプルな料金体制
・【支援体制】購入の前後での支援体制が充実している

「機能面・価格面・支援体制」の3つの視点で、それぞれご紹介します。

6-1. 【機能面】機能が豊富でさまざまなニーズに応える

「Arcserve」のデータ保護ソリューションでも、お勧めは、代表製品となるイメージバックアップソフトウェアの Arcserve Unified Data Protection (UDP) です。

Arcserve UDPは、Windows や Linux のスタンドアロンサーバはもちろん、システム全体をシンプルに管理し、バックアップ・リカバリできます。

さらに、オフィスや事業所のバックアップデータの保管先としてクラウドを利用できる Arcserve UDP Cloud Hybrid というサービスも提供しています。

日本国内の東西2つのリージョンから選ぶことができ、自社から離れた場所にバックアップすることができます。そのため、災害や障害対策となります。

また、クラウド上で代替仮想マシンを起動させることができるので、重要な業務を災害時にもストップさせず継続することができます。

6-2. 【価格面】シンプルな料金体制

Arcserve UDP は見積もりがシンプルで、価格がお手頃。機能を追加・拡張しても追加購入は不要という点も魅力です。

▶Arcserve UDPの価格情報および購入方法はこちらを参照ください。

「自分にはどのサービスが合っているか分からない」
「どれくらいの費用になるか見積もって欲しい」という導入前のサポートも充実しています。

詳しくは次項をご覧ください。

6-3. 【支援体制】購入の前後での支援体制が充実している

Arcserveは購入の前後のサポート体制が充実している点も嬉しいポイントです。外資系の会社ですが、経験豊富な日本人スタッフがしっかりサポートしてくれます。

・購入前…お電話やwebフォームで相談可能。ポータルサイトやカタログセンターでよくある質問などへの回答
・購入後…テクニカルサポート 

サポート体制が整っているので、購入後のお客様の96%がご満足していただいています。

このように「Arcserve」は【機能面・価格面・支援体制】が整っており、貴社の大事なデータをお守りします。BCP対策として安全なデータの保管をお考えでしたら、ぜひ「Arcserve」へご相談ください。

「気になっているけど、試しに使ってみたい」という方のために、無償トライアルを実施しています。使用感をぜひお試しください。

7. まとめ

いかがでしたか?
製造業でのBCP対策について理解でき、BCPの策定や実施ができそうでしょうか?

最後にこの記事をまとめますと

◉製造業におけるBCP対策のポイント
・従業員の安否確認体制、安全確保
・防災対策や訓練
・継続する業務の選択
・資源や取引先の分散
・業務のデータを分散化、クラウド化
・代替工場の確保
・代替設備の確保

◉製造業のBCPを策定する流れ
1.基本方針の立案
2.重要商品の検討
3.被害状況の確認
4.事前対策の実施
5.緊急時の体制の整備

◉製造業でBCP対策を成功させるための注意点
・完璧を目指さず全体を作りきる
・BCM (事業継続マネジメント)も検討する
・データの破損に注意

この記事を元に、あなたの会社のBCP対策の策定・運用ができることを願っています。

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