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【徹底比較】プライベートクラウドとパブリッククラウドの違いを解説

「プライベートクラウドとパブリッククラウドは何が違うの?」
と疑問に感じていませんか? 

プライベートクラウドとパブリッククラウドは、クラウド環境を「専有」しているのか「共有」しているのかに違いがあります。

プライベートクラウドは、自社専用のクラウド環境を構築できるサービスのことで、クラウド環境を「専有」しています。

一方でパブリッククラウドは、個人ユーザーや企業など、クラウド環境を不特定多数のユーザーが共有して使うクラウドサービスのことで、クラウド環境を「共有」しています。

ただし、「プライベートクラウド」「パブリッククラウド」には、それぞれに一長一短あります。それぞれのメリット・デメリットを知って、自社にとってどちらが最適なのかを慎重に判断しないと、「思っていたクラウドサービスを導入できなかった…」と後悔する可能性があります。さらには、クラウドサービス導入のための、投資や手間や時間が無駄になる恐れがあるのです。

 そこで本記事では、自社にとってプライベートクラウド、パブリッククラウドのどちらが自社に適しているのか判断できるよう、以下の内容をお伝えします。

▼本記事の内容 

  • プライベートクラウドとパブリッククラウドの違いとは?
  • プライベートクラウドの2つのメリット
  • プライベートクラウドの2つのデメリット
  • パブリッククラウドの3つのメリット
  • パブリッククラウドの4つのデメリット
  • プライベートクラウドに向いている企業
  • パブリッククラウドに向いている企業
  • おすすめのクラウドサービス6選

 この記事を読むことで、プライベートクラウドとパブリッククラウドのどちらが自社に最適なのかを判断できるだけでなく、おすすめのクラウドサービスを知って、サービスを選択できるようになります。
ぜひ最後までお読みください。

目次

1.プライベートクラウドとパブリッククラウドの違いとは?

プライベートクラウドとパブリッククラウドの違いとは

プライベートクラウドとパブリッククラウドは、どのように違うのでしょうか。
両者の違いは、以下のとおりです。

 プライベートクラウドパブリッククラウド
特徴自社専用のクラウド環境を構築できるサービスクラウド環境を専有する個人ユーザーや企業など、クラウド環境を不特定多数のユーザーが共有して使うクラウドサービスクラウド環境を共有する

それぞれ詳しく見ていきましょう。

1-1.プライベートクラウドとは

プライベートクラウドとは

プライベートクラウドとは、上記の図のように、自社専用のクラウド環境を構築できるサービスのことです。

自社、もしくはクラウドサービス提供会社の持つデータセンター(※1)でサーバーを用意してもらい、特定のユーザーや企業のみを対象としたインターネット回線をつなぎます。そのため、セキュリティの高いネットワーク経由でクラウド環境を提供してもらえます。

 つまりプライベートクラウドは、クラウド環境を1社だけで「専有」しているのです。

 プライベートクラウドは自社専用クラウドであるため、自社の運用にあわせて環境の構築やカスタマイズができます。

※1「データセンター」
クラウドのサービス提供会社が所有するサーバーが置かれている場所のこと。クラウドで保存したファイルは、データセンター内にあるクラウド事業者が所有するサーバーに保存される。

1-2.パブリッククラウドとは

パブリッククラウドとは

パブリッククラウドとは、個人ユーザーや企業など、クラウド環境を不特定多数のユーザーが「共有」して使うクラウドサービスのことです。

上記の図のように、1つのサーバーに対して複数の個人もしくは企業が、クラウド環境を利用します。

自社でサーバーや専用のインターネット回線を調達したり、所有したりする必要はなく、クラウドサービスの事業会社が提供する仮想化されたサーバーやネットワークなどを必要なときに、必要な分だけ利用することが可能です。

1-3.プライベートクラウドとパブリッククラウドは「専有」か「共有」であるかの違い

プライベートクラウドとパブリッククラウドの違いは、「専有」であるか「共有」であるかの違いです。

プライベートクラウドは、企業が自社のためにサーバーを用意して環境を構築し、各部署やグループ会社だけにインターネット回線をつないでいるため、クローズドな環境です。つまり、クラウドを「専有」していることになります。

一方で、パブリッククラウドは、不特定多数の個人ユーザーや企業がクラウドを利用できるオープンな環境です。つまり、クラウドをほかのユーザーと「共有」していることになります。

このように、プライベートクラウドとパブリッククラウドは、クラウドというシステム上に違いはありませんが「専有」なのか「共有」なのかという違いがあります。

そのため、プライベートクラウドとパブリッククラウドには、それぞれメリット・デメリットがあるのです。

そこで2章から5章にかけて、プライベートクラウド、パブリッククラウドのメリット・デメリットをくわしくお伝えしていきます。

2.プライベートクラウドの2つのメリット

プライベートクラウドのメリットは以下の2つです。
プライベートクラウド2つのメリット

2-1.セキュリティが高い

プライベートクラウドの1つめのメリットは、「セキュリティが高い」という点です。

 プライベートクラウドが稼働するデータセンター(※1)と自社との間では、VPN(※2)・クローズドネットワーク(※3)の専用回線で接続するので、他のネットワークから侵入される心配がありません。

社内の従業員や許可したユーザーのみアクセスが可能になっているため、セキュリティが高いといえます。

 一方で、パブリッククラウドはデータセンターとの間に専用回線で接続するわけではないので、他のネットワークから侵入されるリスクはゼロとはいえないでしょう。

▼用語解説
※1「データセンター」
クラウドのサービス提供会社が所有するサーバーが置かれている場所のこと。クラウドで保存したファイルは、データセンター内にあるクラウド事業者が所有するサーバーに保存される。

※2「VPN」
インターネット上に仮想の専用線を設定して、限られたユーザーのみ利用できるようにした専用ネットワークのこと。

※3「クローズドネットワーク」
インターネットなどに直接つながれているのではなく、限られたユーザーや拠点間のみを接続する組織内の広域通信ネットワークのこと。

2-2.カスタマイズの自由度が高い

プライベートクラウドの2つめのメリットは「カスタマイズの自由度が高い」という点です。
プライベートクラウドは自社の「専用環境」であるため、自由に設計・変更ができます。

そのため、 

  • 自社のセキュリティポリシーに合わせた環境構築
  • 利用するOSの種類や設定
  • 仮想化ソフトの種類や設定

 などを自由に選択でき、自社独自のクラウド環境を作り込むことが可能です。

 一方、パブリッククラウドでは、クラウドサービスの提供会社で決められたOSや仮想化環境などを利用して環境を構築していくため、プライベートクラウドと違い、カスタマイズの自由度は低いといえます。

 したがって、クラウド環境を自由にカスタマイズがしたい企業は、プライベートクラウドが向いています。

3.プライベートクラウドの2つのデメリット

プライベートクラウドのデメリットは以下の2つです。
プライベートクラウド2つのデメリット

それぞれくわしく見ていきましょう。

3-1.コストが高い

プライベートクラウドの1つめのデメリットは「コストが高い傾向にある」という点です。

 プライベートクラウドは、あらかじめ設定された環境を活用しているパブリッククラウドと比較して、一から自社のビジネス要件や環境に適したシステムを作り上げていく必要があるため、初期費用や運用コストが高額になります。

 たとえば、

  • VPN回線やクローズドネットワークを契約する費用
  • クラウド環境内のシステムに自社システムを構築するための外部委託費用
  • 自社システムを構築した外部委託業者への保守管理費用

 などです。

 そのため、プライベートクラウドではコストが高くなる傾向にあります。

3-2.柔軟にリソース増減をするのは難しい

プライベートクラウドの2つめのデメリットは「柔軟にリソース増減をするのは難しい」という点です。

 プライベートクラウドでは、クラウドを専有しているため、物理的にはクラウドサービス提供会社の、ある1つのサーバーを専有していることになります。そのため、クラウドの物理的なリソース(容量・CPU・メモリ)は、導入の段階で決めたリソースで運用していく必要があり、簡単にリソースを追加したり、縮小することは難しいのです。

 また、一度クラウドのリソースを決めると長期間の契約が前提となることも、リソースの増減を難しくしています。

 一方パブリッククラウドでは、クラウドを不特定多数のユーザーと「共有」して利用しているため、事業会社側もパブリッククラウド用のサーバーではとてつもなく大容量のサーバーを用意しています。各ユーザーがリソースの増減をすることを前提としているので、柔軟に対応してもらえます。 

4.パブリッククラウドの3つのメリット

パブリッククラウドのメリットは以下の3つです。
パブリッククラウド3つのメリット

4-1.導入スピードが早い

パブリッククラウドのメリット1つめは「導入スピードが早い」という点です。

 パブリッククラウドの導入スピードが早いのは、クラウドサービスの提供会社とWebで契約を結べば、すぐに使い始めることができるからです。

プライベートクラウドと違って、通信回線を契約したり、OSの設定や自社セキュリティーポリシーに合わせた構築などをしたりすることがない分、スピーディに利用を開始できます。

 そのため、クラウドの導入を急いでいる場合には、パブリッククラウドが向いているといえるでしょう。

4-2.柔軟にリソース増減できる

パブリッククラウドの2つめのメリットは「柔軟にリソース増減できる」という点です。

 パブリッククラウドでは、従量課金制(※1)をとっているサービスが多く、リソースの増減を前提としているため、使いたい分だけリソース(容量・CPU・メモリ)を利用することができるのです。

 たとえば、ある工場にて製造過程の計測データがあり、月によって全計測データの容量(ストレージ)は変わるとします。繁忙期になると計測データが膨大になるので、時期によってリソースの増減をしたいという場合には、パブリッククラウドを利用することで柔軟にリソースの増減が可能です。

 ちなみに、パブリッククラウドではデータ容量に応じた定額プランもあり、もしリソースが足りない、もしくは減らしたいという場合には、翌月からすぐに変更できるという点は魅力的です。

 ※1「従量課金制」:使った容量分のお金を支払う制度

4-3.コストが抑えられる

パブリッククラウドの3つめのメリットは「コストを抑えられる」という点です。
パブリッククラウドでは初期費用がかかることがほとんどありません。
また、運用コストもかからず、必要なのはデータ容量に応じてかかる費用、もしくは定額費用だけです。 

なぜなら、パブリッククラウドはシステムの構築や運用、OSのアップデートなど、導入から運用までをクラウドサービス提供会社に一任できるためです。
初期費用や運用コストは、必要なくなります。 

一方プライベートクラウドでは、設備投資などの初期費用が発生したり、クラウド上のシステム構築・運用をするために外部の業者への委託費用が発生するなど、コストがパブリッククラウドよりも高額になる傾向にあります。

そのため、クラウド環境を導入したいけれどコストは抑えたいという場合は、パブリッククラウドが向いているといえるでしょう。

 

5.パブリッククラウドの4つのデメリット

パブリッククラウドのデメリットは以下の4つあります。
パブリッククラウド4つのデメリット

5-1.障害などの予期せぬトラブルが発生時に自社で復旧作業ができない

パブリッククラウドの1つめのデメリットは「障害などの予期せぬトラブルが発生時に自社で復旧作業ができない」という点です。

 パブリッククラウドでは、クラウドサービスの事業会社が提供するサービスや、その環境に依存しています。自社でサーバーやその設置場所、ソフトウェアやOSなどを用意する必要がありません。

しかしそのかわり、自社でシステムの内情を把握したり、コントロールしたりすることはほぼ不可能となっています。そのため、障害などの予期せぬトラブルが発生した場合には、自社で対処できず、クラウド事業者からの復旧連絡を待つことになるのです。

 一方で、プライベートクラウドであれば、自社でクラウド上のシステムを構築・運用しているため、復旧は自社で対処することが可能です。自社の重要な情報は消失していないかどうか、何が原因で障害が生じたのかなどは、自社で把握し、コントロールできるため、生じた問題に対して素早い対処ができます。

 したがって、予期せぬトラブルが発生した場合に自社で復旧対応したいと考えている企業には、パブリッククラウドは向かないでしょう。

5-2.カスタマイズの自由度が低い

パブリッククラウドの2つめのデメリットは「カスタマイズの自由度が低い」という点です。

 比較的カスタマイズが自由にできるプライベートクラウドと違い、パブリッククラウドでは、クラウドサービス事業会社が提供するサービスの範囲でしかカスタマイズできません。

不特定多数の個人や企業で共同利用しているため、サーバーの設定自体、共通の標準設定となっている傾向にあります。

たとえば、クラウドサービスの提供会社で決められたOSや仮想化環境などを利用して、環境を構築しシステムを設計することになるため、独自システムの構築には不向きなのです。

 そのため、自社独自のシステムをクラウド環境に構築したいと考えている人には、パブリククラウドは向いていません。

5-3.セキュリティリスクがある

パブリッククラウドの3つめのデメリットは「セキュリティリスクがある」ということです。

 先述のとおり、プライベートクラウドが自社専用の閉ざされた「専有」のクラウド環境であるのに対して、パブリッククラウドは、他社や個人と「共有」のクラウド環境です。

 そのため、クラウド環境上の「設定ミス」が発生した場合に、機密情報が公開状態となり、重大なセキュリティ事故につながるリスクがあるのです。

 設定ミスとは、ユーザーのアクセス制限の設定を誤って「公開」にしたり、そもそもアクセス制限をするのを忘れたりしてしまうことです。

設定ミスが発生すると、共有環境であるパブリッククラウドへの不正アクセスが起こる可能性があるため、結果的に情報漏えいなどの事故につながることもあり得ます。

 設定ミスは人為的なミスなので、もちろん防止することも可能です。

自社の従業員に「設定ミス」をしていないかどうか、しっかり確認して利用してもらうように徹底することで防止できます。

しかし、企業の信頼を失いかねないほどの重要な機密情報を保存する場合には、万が一のセキュリティリスクを考えると、パブリッククラウドは向いていないでしょう。

5-4.サードパーティが提供しているサービスとの互換性がない可能性がある

4つめのデメリットは「サードパーティが提供しているサービスとの互換性がない可能性がある」という点です。

 パブリッククラウドは、プライベートクラウドと違い、クラウドサービス提供会社側で決められたOSや仮想化環境などを利用して環境を構築していくため、サードパーティが提供しているサービスと互換性がない可能性があります。

 契約したパブリッククラウドは、あるソフトウェアには対応しているのに、別のソフトウェアには対応していない、となってしまうケースも少なくありません。

 そのため、パブリッククラウドを導入する際には、今利用しているサービスとの互換性について、事前に確認する必要があります。

パブリッククラウドによって、互換性のある・なしが分かれているため、しっかりチェックしておきましょう。

ここで、プライベートクラウドとパブリッククラウドのメリット・デメリットを特徴ごとにまとめたのでおさらいとして確認しておきましょう。

 プライベートクラウドパブリッククラウド
セキュリティ◎高い△プライベートクラウドと比べると劣る
カスタマイズ性◎自由度高い△自由度低い
コスト△高い◎抑えられる
リソースの柔軟性△柔軟にリソース増減できない◎柔軟にリソース増減できる
導入スピード△パブリッククラウドと比べると時間がかかる◎スピーディ
トラブル時の対応◯自社で復旧できる△自社で復旧できない
サードパーティとの互換性◯クラウド環境のカスタマイズ次第では互換性をつくれる△クラウドサービスによっては互換性がない場合がある

6.プライベートクラウドに向いている企業

ここまでプライベートクラウドとパブリッククラウドのメリット・デメリットをご紹介してきましたが、自社にとってどちらが向いているのかを明確にするため、6章・7章では「プライベートクラウドに向いている企業」「パブリッククラウドに向いている企業」をそれぞれご紹介していきます。

まずは「プライベートクラウドに向いている企業」について、くわしく見ていきましょう。

プライベートクラウドに向いている企業

6-1.コストをかけてでも自由にカスタマイズしたい企業

1つめは「コストをかけてでも自由にカスタマイズしたい企業」です。

 プライベートクラウドはパブリッククラウドと比べて、一から自社の環境に適したシステムを構築していくことができますが、そのかわり設備投資などの初期費用や運用コストが多くかかる傾向にあります。

 それでも、以下のように自由にカスタマイズすることを優先したい企業は、プライベートクラウドがおすすめです。

  • ハードウェアを自社で選択
  • ソフトウェアを自社で選択
  • 利用したいOSを選択・設定
  • 自社のセキュリティポリシーに沿ったクラウド環境の構築
  • 自社の業務システムに合わせたクラウド環境の構築

6-2.顧客情報や機密情報などをクラウド上に保存しようと考えている企業

2つめは「顧客情報や機密情報などをクラウド上に保存しようと考えている企業」です。

 プライベートクラウドでは、自社専用のネット回線で接続するため、他のネットワークから侵入される心配はなく、社内の従業員や許可したユーザーのみアクセスが可能なため、セキュリティが高くなっています。

 セキュリティが高ければ、顧客情報や機密情報が漏れる可能性が限りなく低くなるので、安心です。

 一方、パブリッククラウドでは、不特定多数のユーザーと共有でクラウドを利用するので、万が一「設定ミス」などが発生した場合には、個人情報や機密情報などが漏えいする可能性があるのです。

 そのため、顧客情報や機密情報などの、企業にとって重要なデータをクラウド上に保存しようと考えている場合には、プライベートクラウドが向いているといえます。

7.パブリッククラウドに向いている企業

次にパブリッククラウドに向いている企業についてご紹介します。

パブリッククラウドに向いている企業

7-1.すぐにクラウドサービスを導入したい企業

1つめは「すぐにクラウドサービスを導入したい企業」です。

 パブリッククラウドは、プライベートクラウドのように通信回線を契約したり、細かいカスタマイズをしたりすることがない分、Web上で契約を結べば、すぐに利用を開始できます。

クラウドサービス導入がスピーディに進めば、利用したいと思ったときにすぐ使えるので、ビジネスの展開も早くなります。たとえば短納期のシステム開発や、自社パッケージ製品のクラウド化(SaaS化)に向けたシステム検証をすぐ行える、などです。

 そのため、すぐにクラウドサービスを導入したいと考えている企業には、パブリッククラウドは向いていると言えるでしょう。

7-2.リソースの追加や縮小を柔軟に行いたい企業

2つめは「リソースの追加や縮小を柔軟に行いたい企業」です。

 パブリッククラウドは、従量課金制を取っているサービスが多く、使いたい分だけリソース(容量・CPU・メモリ)を利用することができます。

 たとえば、ある工場での製造過程での計測データがあり、月によって全計測データの容量(ストレージ)は変わるとします。繁忙期になると計測データが膨大になるので、柔軟にリソースの増減をしたいという場合には、このパブリッククラウドが最適でしょう。

 したがって、リソースの追加・縮小を柔軟にしたい企業は、パブリッククラウドが向いています。

7-3.クラウドサービス導入は低価格から始めたい企業

3つめは「クラウドサービス導入は低価格から始めたい企業」です。

 その理由は、パブリッククラウドがシステムの構築や運用、OSのアップデートなど、導入から運用までをクラウドサービス提供会社に一任できるため、初期費用や運用コストは、必要なくなるからです。

 一方プライベートクラウドでは、設備投資などの初期費用が発生したり、クラウド上のシステム構築・運用をするために外部の業者への委託費用が発生するなど、コストがパブリッククラウドよりも高額になる傾向にあります。

 そのため、まずクラウドサービスは低価格からお試しで始めてみたいという企業には、パブリッククラウドが向いているでしょう。

7-4.カスタマイズは必要ない企業

4つめは「カスタマイズは必要ない企業」です。

 パブリッククラウドは、カスタマイズの自由度はプライベートクラウドよりも低い傾向にあります。不特定多数の個人や企業で共同利用しているため、サーバーの設定自体、共通の標準設定となっている傾向にあるのです。

たとえば、クラウドサービスの提供会社で決められたOSや仮想化環境などを利用して、環境を構築しシステムを設計することになるため、独自システムの構築には不向きです。

そのため、独自システムの構築はしないで、ある程度仕様の決まったなかでシステムを設計していきたいと考えている企業には、パブリッククラウドが向いているといえるでしょう。

7-5.公開情報を保存しようと考えている企業

5つめは「公開情報を保存しようと考えている企業」です。

パブリッククラウドは、他社や個人と「共有」のクラウド環境です。

クラウド環境上で、ユーザーのアクセス制限設定を誤って公開としてしまうなどの「設定ミス」が発生した場合、パブリッククラウドへの不正アクセスが起こる可能性があり、結果的に情報漏えいなどの事故につながることもあり得ます。

さらに、流出した情報が機密情報である場合、企業の信頼を失いかねません。

 一方で、もともと世間に公開しているような情報であれば、万が一、設定ミスなどで情報漏えいが発生しても、機密情報が流出するわけではないので、被害は最小ですみます。

 そのため、公開情報を保存したい場合は、パブリッククラウドのほうがコストを抑えられるため、向いているといえます。

8.おすすめのクラウドサービス6選

おすすめのクラウドサービス6選

ここまでプライベートクラウド、パブリッククラウドの違いやメリット・デメリットについてお伝えしました。

自社にとって「プライベートクラウド」「パブリッククラウド」のどちらが最適であるかが判断できたら、気になるのは「どのクラウドサービスが良いのか?」という点ではないでしょうか。

 そこで、8章ではおすすめのクラウドサービスを6つご紹介します。

▼おすすめのクラウドサービス6選 【パブリッククラウド】

  1.  AWS(Amazon Web Service)/Amazon
  2.  GCP(Google Cloud Platform)/Google
  3.  Microsoft Azure/Microsoft

 【プライベートクラウド】

  1. Enterprise Cloud / NTTコミュニケーションズ
  2. KDDIクラウドプラットフォームサービス / KDDI
  3. IIJ GIO P2 プライベートリソース / インターネットイニシアティブ)

8-1.パブリッククラウド

まずはパブリッククラウドのおすすめサービスです。

8-1-1.AWS(Amazon Web Service) / Amazon

AWS(Amazon Web Service) / Amazon出典:https://aws.amazon.com/jp/

Amazon Web Service(以後AWS)は、世界最大級のECサイトを運営しているAmazon社が提供しているパブリックサービスです。

◆特徴

①最先端技術をいつでも利用できる

AWSでは、200を超えるサービスが提供されており、リリース時点ですぐに、全てのユーザーが利用可能です。国や地域にかかわらず、常に最先端のテクノロジーを利用できます。

②継続的に値下げが実施される

AWSでは、サービスを開始してから85回以上の値下げを実施しており、定期的にコスト低下分をユーザーに対して還元してもらえるという点は魅力的です。

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8-1-2.GCP(Google Cloud Platform) / Google

GCP(Google Cloud Platform) / Google出典:https://console.cloud.google.com/getting-started?hl=ja&pli=1 

Google Cloud Platform(以後GCP)は、Googleが提供するクラウドサービスです。

◆特徴

①AIや機械学習サービスが充実している

クラウド環境下で提供されているさまざまなツールの品質が高く、特にAIや機械学習サービスが充実しています。GCPでデータ解析を行う場合は、Googleのデータセンター内のリソースが自動で割り当てられるため、高負荷の処理も難なく実行できます。他のクラウドサービスでは、計算リソースの追加やチューニングが必要になることもあるため、データ解析を行いたい場合は、解析に適した環境であるGCPは魅力的です。

②必要なサービスが選択可能

GCPでは、インフラから各種ツールにいたるまで、YouTubeやグーグル検索などのサービスで使われているものと同レベルの技術が利用できます。自社だけで、同等レベルの環境やシステムを用意することは簡単でないため、クラウドサービスでこれらを利用できるのは大きなメリットといえるでしょう。

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8-1-3.Microsoft Azure / Microsoft

Microsoft Azure / Microsoft出典:https://azure.microsoft.com/ja-jp/

 Microsoft Azureは、マイクロソフト社が提供するクラウドサービスです。

◆特徴

①自社設置のサーバーとの連携が可能

Azureでは、自社設置型のサーバーとの連携が可能であるという点も、大きな魅力のひとつです。自社設置型のサーバーとの連携によって、WindowsOSやMicroOfficeもスムーズに連携できるので、プラットフォームの構築という点で、強みがあります。

②高いセキュリティが保たれている

Azureでは、高いセキュリティが保たれています。そのような高セキュアな環境を維持するために、以下の取り組みを行っています。

  • 世界で3,500名のセキュリティ専門家がAzureのデータセンターやインフラ設備に対してセキュリティ対策を構築している
  • ID管理やアクセス権限の設定、ネットワークのセキュリティ保護などのサービスをAzureクラウド内で提供している
  • 膨大なデータを分析することによって、最新のセキュリティリスクを分析し、驚異を迅速に発見するようにしている

パブリッククラウドでこのような高いセキュリティが保たれているのは、魅力的です。

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8-2.プライベートクラウド

次にプライベートクラウドのおすすめサービスをご紹介します。

8-2-1.SDPF クラウド / NTTコミュニケーションズ

SDPF クラウド / NTTコミュニケーションズ出典:https://www.ntt.com/business/services/data-utilization/dxplatform/sdpf/cloud.html

◆特徴

①全てのITシステムをトータルマネジメントしてもらえる

SDPFでは、従来使用していたシステムも新規のクラウドシステムも、統合マネジメントで一元管理し、自社のIT環境を最適化してもらうことが可能です。

②障害や災害のときでも安心

障害や災害時にサービスがストップしてしまうことは何としてでも避けたい企業に対して、システムの障害・災害対策を実現するソリューションを提供してもらえるので、安心できます。

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8-2-2.KDDIクラウドプラットフォームサービス / KDDI

KDDIクラウドプラットフォームサービス / KDDI出典:https://biz.kddi.com/service/cloud-data-center/cloud-platform/ 

KDDIが提供する、プライベートクラウドのサービスです。

◆特徴

①障害が少なく安定した通信が可能

ネットワークやサーバーにおいて、KDDIクラウドプラットフォームサービスでは、設備や装置を複数用意し、一部が故障しても運用を継続できるようにしているため、障害は発生しにくくなっています。

②第三者機関の保証による信頼性の高さが魅力

KDDIクラウドプラットフォームサービスでは、SOC(サービス・オーガニゼーション・コントロール)という、サービス提供における内部統制を保証する認証を2種類(SOC1・SOC2)取得しています。そのため、信頼性が高く、安心してサービスを利用できることが証明されています。

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8-2-3.IIJ GIO P2 プライベートリソース / インターネットイニシアティブ

IIJ GIO P2 プライベートリソース / インターネットイニシアティブ出典:https://www.iij.ad.jp/biz/p2/

◆特徴

①プライベートクラウドでもリソースの増減ができる

IIJ GIO P2 プライベートリソースでは、リソースの増減が簡単に変えられるので、パブリッククラウドのように、高い柔軟性でリソースの調整ができます。

②自社設置サーバーとハイブリッドで利用できる

IIJ GIO P2 プライベートリソースでは、IIJ独自開発のルーター「SEIL(ザイル)」を用いて、自社設置サーバーからクラウドサービスへつなぐことができます。まるで、自社設置サーバーを拡張したかのように、クラウド環境が利用でき、使い勝手が良いのは魅力的です。

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9.クラウドサービスを導入する際は「バックアップサービス」の導入も一緒に検討しよう

プライベートクラウドやパブリッククラウドを利用する際には、一緒に「バックアップサービス」の導入も検討するべきです。
なぜなら、プライベートクラウドであれ、パブリッククラウドであれ、以下のような理由から保存したファイルやデータ、システムなどが消失してしまうリスクがあるからです。

▼データが破損・消失するさまざまな要因 

◆人的ミス

  • まちがえて重要なデータのファイルを削除してしまった
  • まちがえて上書き保存してしまい、以前のデータが失われてしまった

など。

◆ウイルス感染

  • メールを開けたらウイルスに感染してしまい、重要なデータが消えてしまった

など。

◆災害

  • 地震によってサーバーのディスクが破損してしまい、データが消失してしまった
  • 火災によってサーバーのディスクが破損してしまい、データが消失してしまった
  • 結露によってサーバーのディスクが破損してしまい、データが消失してしまった

など

◆犯罪

  • 何者かの改ざん行為によってデータが改ざんされてしまった
  • 社外からの悪意を持ったアクセスによって(サイバー攻撃)、データが消失してしまった

など

◆ソフトウェア障害:ソフトウェア内部で発生する問題のこと

  • バグが発生して突然データが消えてしまった
  • 社内で使用していた他ソフトとの相性が悪く、ソフトウェアが故障して、データが消えてしまった

など

企業にとって重要な情報を破損、消失してしまわないためにも、プロの力を借りて「バックアップサービス」を利用しましょう。

そこでアークサーブのバックアップサービスのご利用をおすすめします。

アークサーブでは重要なファイルやシステム、データベースをバックアップして、すぐに復旧できるような状態を常に維持できます。そのため、万が一災害や障害によって元データが消失してしまっても、すぐに復旧して、業務の再開が可能です。
また、ランサムウェア対策も徹底しており、サイバー攻撃を検知して未然に防ぎ、ランサムウェアの驚異から守ることができます。
そして何よりバックアップや災害復旧ソリューションの専業ベンダーとして、アークサーブは数十年にわたって、お客様の重要データを守ってきたという実績があり、信頼できるサービスを日々提供し続けています。

ぜひ弊社のバックアップサービスのご利用をご検討ください。

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10.まとめ

この記事では「プライベートクラウド」「パブリッククラウド」のメリット・デメリットや、おすすめのクラウドサービスをご紹介しました。

ここで改めて本記事のおさらいをしましょう。

◆プライベートクラウドとパブリッククラウドは、クラウド環境において「専有」であるか「共有」であるかの違いがある

◆プライベートクラウドの2つのメリット 

  • セキュリティが高い
  • カスタマイズの自由度が高い

◆プライベートクラウドの2つのデメリット

  • コストが高い
  • 柔軟にリソース増減をするのは難しい

◆パブリッククラウドの3つのメリット

  • 導入スピードが早い
  • 柔軟にリソース増減できる
  • コストが抑えられる

 

◆パブリッククラウドの4つのデメリット

  • 障害などの予期せぬトラブルが発生時に自社で復旧作業ができない
  • カスタマイズの自由度が低い
  • セキュリティリスクがある
  • サードパーティが提供しているサービスとの互換性がない可能性がある

◆プライベートクラウドに向いている企業

  • コストをかけてでも自由にカスタマイズしたい企業
  • 顧客情報や機密情報などをクラウド上に保存しようと考えている企業

◆パブリッククラウドに向いている企業

  • すぐにクラウドサービスを導入したい企業
  • リソースの追加や縮小を柔軟に行いたい企業
  • クラウドサービス導入は低価格から始めたい企業
  • カスタマイズは必要ない企業
  • 公開情報を保存しようと考えている企業

◆おすすめのクラウドサービス6選

【パブリッククラウド】

  •  AWS(Amazon Web Service)/Amazon
  •  GCP(Google Cloud Platform)/Google
  •  Microsoft Azure/Microsoft

 【プライベートクラウド】

  • Enterprise Cloud / NTTコミュニケーションズ
  • KDDIクラウドプラットフォームサービス / KDDI
  • IIJ GIO P2 プライベートリソース / インターネットイニシアティブ)

本記事がお役に立てれば幸いです。

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