「可用性って一体、どういう意味なんだろう?」
可用性(Availability)とは、通信サービスやクラウドサービスなどを、機器故障・災害・人的ミス・通信障害などの要因で停止することなく「稼働し続ける能力」や「指標」のことです。
簡単にかみ砕けば「システムやサービスがふだん通り使える状態」を維持できる能力と言い換えられます。
例えばあるシステムにおいて、100時間のサービス時間中、90時間は稼働していて、10時間は停止している場合「可用性=90%」ということになります。
サービス提供時間が「100時間」の場合の可用性 | |
稼働時間:90時間 | 可用性=90% |
停止時間:10時間 |
もしも、あなたがなんらかの通信サービスやWebサービスをローンチする場合。
可用性はできる限り高めるべきです。
なぜならば、可用性を高めておかないと、莫大な損害賠償を支払うことになったり、顧客からの信用を失ったり、競合他社に顧客を奪われてしまうなど、さまざまなマイナスを被る可能性があるからです。
押さえておきたいのは、2022年にKDDIの通信網で発生した大規模な通信障害です。
KDDIは、数十時間にわたって通信サービスが使えない状態になり、73億円もの損害賠償を顧客に支払うことになりました。
この通信障害によってKDDIが受けた損害は計り知れません。
こうした事態を防ぐためにも「可用性とは何か?」について、本記事を読んで理解し、失敗のリスクを減らしてください。
「可用性とは何か?」に加えて、あなたが知っておきたいのは「どうやったら、可用性が高められるのか?」ということではないでしょうか。
結論をいえば、可用性を低下させる3つの脅威別に「適切な対策」があります。
以下の対策を取り入れることで、高い可用性を維持できます。
可用性を高める方法 | |
可用性を低下させる脅威 | 可用性を高める対策例 |
①アクセス集中 | 予備サーバーを導入して「負荷分散」する |
②災害 | レプリケーションによるリアルタイム複製+ホットスタンバイ構成 |
③サイバー攻撃 | ①レプリケーション+バックアップ+ホットスタンバイ構成 ②セキュリティ対策を実施する |
可用性について正しい知識を得ないと、顧客から選ばれるシステムを開発できなくて売上が低下したり、顧客からの信頼を大きく失う可能性がありますから、注意が必要です。
本記事では「可用性とは何か?」や「可用性を高める方法」について、どの記事よりもわかりやすく解説します。
本記事でわかること |
●可用性とは? ●可用性はどれだけ高めるべきか? ●システム・サービスの「可用性」の調べ方 ●可用性を低下させる脅威3つ ●可用性を高める方法を「3つのケース別」に解説! |
「サービスやシステムのローンチで失敗したくない」
「顧客の信頼を失いたくない」
「システム障害による損害賠償を防ぎたい」
といった思いがある方にとって、参考になる記事です。
それでは早速、ご覧ください。
目次
1. 可用性とは?
第1章では「可用性とは何か?」について、くわしく解説します。
可用性とは何か? |
・「可用性」とは? ・なぜ「可用性」は高い方がいいのか? ・【売上拡大のための秘策】サービスに可用性の指標「SLA」を導入しよう |
一つずつ、みていきましょう。
1-1. 「可用性」とは?
可用性の定義は、冒頭でご説明した通りです。
可用性(Availability)とは、システムやクラウドサービス、通信サービスなどを、機器故障・災害・人的ミス・通信障害などの要因で停止することなく「稼働し続ける能力」や「指標」のこと |
一言で言い換えると「システムやサービスがふだん通りに使える状態」を維持できる能力です。
可用性については「可用性が高い」「可用性が低い」などと表現します。
●可用性が高い(高可用性/High Availability) =壊れるリスクはほとんどない。ほぼいつでも普段通り使える ●可用性が低い =壊れるリスクが高い。ときどき使えなくなる |
1-2. なぜ「可用性」は高い方がいいのか?
システムやサービスを提供する場合、可用性は「高ければ高いほど望ましい」です。
その理由は、大きく分けて2つあります。
「可用性」を高めるべき理由 |
①商品やサービスの「売上拡大」につながるから ②損害賠償が発生するリスクを避けるため |
どういうことなのか、一つずつみていきましょう。
① 商品やサービスの「売上拡大」につながるから
一つは「可用性が高い=信頼性がある」という評価につながるからです。
可用性が高ければ、ユーザーは「サービス品質が安定している」と理解します。
その結果、「商品やサービスを購入してみよう」と意思決定するユーザーを増やせるのです。
実際に、大手通信キャリアや、クラウドデータセンター事業者などは、自社サービスの「可用性の高さ」をアピールすることで、ユーザーの商品購入の意思決定を促しています。
以下は、NTTコミュニケーションズが提供する「ドコモの固定VPNサービス」における可用性に対する考え方です。
ここでは「可用性」が「稼働率」と表現されていますが、稼働率が90.0%以下になった場合、返還対象になる利用料金が「100%」返金されると記載されています。
稼働率 | 返還料金 |
99.99%以上 | 免責 |
99.8%以上〜99.99%未満 | 返還対象料金の1% |
98.0%以上〜99.8%未満 | 返還対象料金の3% |
95.0%以上〜98.0%未満 | 返還対象料金の10% |
90.0%以上〜95.0%未満 | 返還対象料金の20% |
90.0%未満 | 返還対象料金の100% |
出典:NTTコミュニケーションズ「サービス品質保証制度(SLA)」より抜粋
通信サービスの場合「返金対応」とひもづけて「可用性の高さ」をアピール材料にしている企業がほとんどです。
多くの企業がいかに「可用性が高い=売上拡大のチャンスが増す」と考えていることがうかがいしれます。
だからこそ、可用性を高めるべきだといえます。
② 損害賠償が発生するリスクを避けるため
もう一つは「損害賠償が発生するリスクを避けるため」という理由が挙げられます。
皆さんもご存じかと思いますが、2022年7月に、大手通信キャリア「KDDI」にて、全国的な「大規模通信障害」が発生しました。
数百万人以上のユーザーが、通信サービスを長時間にわたって使えなくなってしまったのです。
その結果、KDDIは、総額73億円もの返金対応(損害賠償対応)を行う事態におちいりました。
●「約款」に基づいた返金 24時間以上連続で、通信サービスを使えなかった(もしくは同等の状況におちいった)ユーザー(音声通信サービスノミを契約している人)「271万人」を対象に、契約中の「料金プラン」の「基本使用料2日分相当額」を減額する ●「お詫び」の返金 →これらの対応により、KDDIは、73億円もの損害賠償を行うことになった |
なんらかの障害が発生した際に、サービス事業者が「返金対応を行うべきか否か」については、個々の判断にゆだねられています。
しかし、個別に損害賠償訴訟を起こされるリスクを減らすという意味では、一律決まった損害賠償を行うのが一つの考えです。
いずれにせよ、可用性が低くなった場合、こうした返金対応を行うリスクがありますので、可用性は高い状態を維持すべきだといえるでしょう。
1-3. 【売上拡大のための秘策】サービスに可用性の指標「SLA」を導入しよう
「1-2. なぜ「可用性」は高い方がいいのか?」でお伝えした通り、多くの企業は、可用性の高さを「サービス品質の証」として提示し、見込み顧客向けのアピール材料にしています。
この「サービス品質の証」のことを「SLA」といいます。
「SLA(Service Level Agreement)」とは? |
事業者が提供するサービスの「品質」を、事業者が独自に定義し、顧客に約束する「サービス品質レベル」に関わる指標のこと。「サービス品質保証」とも呼ばれている |
例えば、可用性が90.0%を下回った場合、返還対象料金の100%が返金されます。
仮に、月額2万円のサービスにおいて、可用性が90.0%を下回ったならば、2万円が、そっくりそのまま返金されるということです。
サービス品質保証制度(SLA)(NTTコミュニケーションズの場合) | |
稼働率 | 返還料金 |
99.99%以上 | 免責 |
99.8%以上〜99.99%未満 | 返還対象料金の1% |
98.0%以上〜99.8%未満 | 返還対象料金の3% |
95.0%以上〜98.0%未満 | 返還対象料金の10% |
90.0%以上〜95.0%未満 | 返還対象料金の20% |
90.0%未満 | 返還対象料金の100% |
出典:NTTコミュニケーションズ「サービス品質保証制度(SLA)」より抜粋
「1-2. なぜ「可用性」は高い方がいいのか?」でお伝えした通り、可用性の目標レベルを明示することで、「受注確率の向上」や「解約率の低下」につながるため、通信サービスの場合には「SLA」を示すのがおすすめです。
ユーザーによるこうした意思決定が増えていけば、企業の売上拡大につながります。
この点は、本稿で既にお伝えしている通りです。
これから通信サービスを提供する方は、SLAの導入を検討してみましょう。
2. 可用性はどれだけ高めるべきか?
「可用性とは何か」や「サービスにSLAを導入すべき理由」などについて、ご理解いただけたのではないかと思います。
そうしたなかで気になるのが「可用性はどれだけ高めるべきか?」ということではないでしょうか。
結論からいえば、可用性(SLA)は100%に近い値を目指すのが望ましいです。
なぜならば、多くの通信サービスやデータセンター等における可用性は「99.99%以上」であるのがスタンダードであり、顧客が求める可用性のレベルも非常に高いからです。
冒頭では「90時間稼働して10時間停止するシステムがあった場合、可用性は90%である」と説明しましたが、通信キャリアが法人向けに提供するインターネット接続サービスに関していえば、可用性が90%ということになれば「可用性が低過ぎて話にならない」といえます。
以下は、NTTコミュニケーションズが提供する「ドコモの固定VPNサービス」における可用性に対する考え方です。
ここでは「可用性」が「稼働率」と表現されていますが、稼働率が99.8%以下になった段階から、返金されます。そして、可用性が90.0%未満になった段階で、返還対象になる利用料金が「100%」返金されると記載されています。
稼働率 | 返還料金 |
99.99%以上 | 免責 |
99.8%以上〜99.99%未満 | 返還対象料金の1% |
98.0%以上〜99.8%未満 | 返還対象料金の3% |
95.0%以上〜98.0%未満 | 返還対象料金の10% |
90.0%以上〜95.0%未満 | 返還対象料金の20% |
90.0%未満 | 返還対象料金の100% |
出典:NTTコミュニケーションズ「サービス品質保証制度(SLA)」より抜粋
どのようなシステム・サービスであるにせよ、「可用性が高い=信頼性がある」という評価につながります。
「信頼性があるか否か」は、中長期的に、売上を大きく左右する重要なファクターですから、できる限り100%に近い数値の可用性(≒高可用性)を目指すべきだといえるでしょう。
● SLAの「サービス停止時間(ダウンタイム)」は実際、何分くらい? 自社サービスにSLAを設定する場合「どれくらいのダウンタイムが許容されるのか」のイメージが湧きづらいかと思います。 そこで、可用性(SLA)ごとの「サービス停止時間」の目安を、一覧表でまとめてみました。 貴社が、通信サービスの「SLA」をつくる際の参考になりましたら幸いです。 |
3. システム・サービスの「可用性」の調べ方
「可用性の目標値」などについて、理解が深まったのではないかと思います。
そうしたなかで、もしもあなたが「可用性を高めたい」と考えた場合「そもそも、自社のシステム(サービス)の可用性がどれくらいなのか?」が気になりますよね。
結論をいえば、可用性は、以下の計算式より算出できます。
可用性を調べる計算式 |
(計画サービス時間-停止時間) ÷ 計画サービス時間 =可用性(%) |
一例として、「健康に関するお悩み相談アプリ」の「ある月の可用性(%)」について算出してみましょう。
このお悩み相談アプリは、24時間、いつでもチャットで相談できる場合。
1ヵ月あたり「計画サービス時間」は「720時間」です。
24時間×30日=720時間/月間サービス時間 |
調査対象の月に10時間ほど、サーバ障害で稼働が停止してしまった場合。
当該月における可用性は「98.61%」であると算出できます。
(720-10)÷ 720 =「98.61%」/調査対象月における可用性 |
この計算式によって求めるのが基本の考えですが、実際には秒単位による計測を行うのが一般的です。
そのため「可用性を計測するツール」を導入するなどして、正確な数値を算出する必要があります。
可用性を測定するツールとしては、IBMが提供する「PowerHA® SystemMirror®の『SMIT』」があります。
このツールを用いると、アプリケーション (および定義されているアプリケーション・コントローラー) が稼働している合計時間を測定できます。
参考にしてみてください。
4. 可用性を低下させる脅威3つ
これまでの記事を通じて、通信サービスやWebサービスを提供するような場合には「可用性は高めるべき」だということが、ご理解いただけたのではないかと思います。
とはいえ「可用性を低下させる脅威が何なのか」がわからなければ、対策のしようがありませんね。
可用性を低下させる脅威は、機器やサーバに誤った設定を施してしまうことでアクセス不能になる「人的ミス」に限りません。
可用性を低下させる(=「サービスの停止」を招く)脅威は、大きく分けて「3つ」あります。
可用性を低下させる脅威3つ |
①アクセスの集中 ②災害 ③サイバー攻撃 |
本章では、その脅威について、詳しく解説します。
一つずつ、みていきましょう。
① アクセスの集中
「アクセス集中」は、可用性を低下させる大きな要因の一つです。
複数のユーザーが同時にアクセスすると、サーバ側の処理が追いつかなくなることで「アクセス不可」になってしまうことがあります。
例えば、テレビの情報番組が「専門家がおすすめする話題のダイエット家電」を紹介した場合。
ダイエット家電を購入できる「ECサイト」にアクセスが集中しすぎて、アクセス不可になるケースが考えられます。
最近では、新型コロナウイルスの「ワクチン接種」の予約ページにアクセスが集中して、予約が取れない事態が生じたことが記憶に新しいです。
「売上減」や「機会損失」を防いだり、ユーザーが必要なサービスを受けられるようにしたりするために「一時的なアクセス集中」に備えた「システム・サーバ環境の構築」が求められます。
② 災害
火事、地震、洪水、落雷などの「災害」も、可用性を大きく低下させる要因の一つです。
なんらかの災害によって、システムやサーバーが物理的に壊れ、機能しなくなることで、アクセスができなくなってしまうのです。
「アクセス集中」と「災害」を比較した場合、災害の方が、ビジネスに与える影響は甚大です。
アクセス数が「通常レベル」に戻れば、普段通りアクセスできるようになりますが、災害の場合には、バックアップ用のシステム・サーバがなければ、復旧に長い時間を要するからです。
ゼロからシステム・サーバ環境を構築しなおすことになれば、企業は大きな損害を被るでしょう。
自然災害を想定した「システム・サーバ環境の構築」は、事業継続計画(BCP)の一環として、ぜひとも盛り込みたいことです。
③ サイバー攻撃
「サイバー攻撃」も、Webサイトの可用性を著しく低下させる要因の一つです。
● DoS攻撃
Webサイトやアプリなどの可用性を低下させる代表的なサイバー攻撃として「DoS攻撃(ドス攻撃/Denial of Service Attack)」が挙げられます。
DoS攻撃とは、サーバに対して悪意をもって大量のデータを送りつけることで「アクセスが集中」し、サイトにつながらなくなるものです。
● DDoS攻撃
似たような攻撃に「DDoS攻撃(ディードス攻撃/Distributed Denial of Service Attack)」も挙げられます。こちらは、DoS攻撃と違って「複数のコンピュータ」から大量のデータを送るため、より対処が難しいサイバー攻撃だといわれています。
● ランサムウェア攻撃
こうしたサイバー攻撃のなかで、昨今、もっとも多くの被害を生み出しているのが「ランサムウェア攻撃」です。
ランサムウェアは「ランサム=身代金」「ウェア=ソフトウェア」という意味の通り、攻撃者が、企業や個人から不正に奪った「重要なデータ」を返還したり、システムを元の状態に戻すことと「引き換え」に、金銭を要求するものです。
例えば「我々が暗号化した個人情報を元に戻してほしければ、3日以内に1000万円支払え」「暗号化したシステムを元通りにしてほしければ、3日以内に1億円を支払え」といった脅迫を行います。
ランサムウェアに侵入された場合、ランサムウェアを駆除したり「システムの復元」を行ったりしますが、復旧するまでの間は、アクセスができない状態が続く可能性があり、甚大な被害を被る可能性があります。
そういった意味で、もっとも恐ろしい脅威は「ランサムウェアを始めとするサイバー攻撃」だといえます。
以上の通り、可用性を低下させる要因を3つ、紹介させていただきました。
可用性を低下させる脅威3つ |
①アクセスの集中 ②災害 ③サイバー攻撃 |
次章では、これらの脅威を防ぐ「具体的な対策」をご紹介します。
「可用性の低下につながる脅威に備えたい!」
「システムやサービスの可用性が高い状態を維持したい」
という方は、併せて、ぜひチェックしてみてください。
5. 可用性を高める方法を「3つのケース別」に解説!
可用性を低下させる3つの脅威別に、対策をご紹介します。
可用性を低下させる脅威 | 可用性を高める対策例 |
① アクセス集中 | 予備サーバーを導入して「負荷分散」する |
② 災害 | レプリケーションによる リアルタイム複製+ホットスタンバイ構成 |
③ サイバー攻撃 | ①レプリケーション+バックアップ+ホットスタンバイ構成 ②セキュリティ対策を実施する |
一つずつ、みていきましょう。
① アクセス集中
可用性を低下させる脅威 | 可用性を高める対策例 |
①アクセス集中 | 予備サーバーを導入して「負荷分散」する |
「アクセス集中」対策には「予備サーバーを導入して『負荷分散』する」のが有効です。
負荷分散とは、アクセスの集中などによっては発生する負荷を、複数台のサーバによって処理することで、サーバーダウンを防ぐものです。
アクセス集中によるサーバーダウンは、1台のサーバーで処理しきれなくなることが原因ですから、対応するサーバーを増やすことで、可用性を維持します。
「最近『アクセスしにくい』というクレームが増えている」
「アクセスの集中による『離脱』を防ぎたい」
「売上減や機会損失のないようにしたい」
といった場合には、予備サーバーを導入して、可用性を高めましょう。
② 災害
可用性を低下させる脅威 | 可用性を高める対策例 |
②災害 | レプリケーションによる リアルタイム複製+ホットスタンバイ構成 |
災害による被害を防ぐためには、以下の2つに取り組むのがベストです。
① 日頃から「レプリケーション」によるリアルタイム複製を行う |
① 日頃から「レプリケーション」によるリアルタイム複製を行う
まず「レプリケーション」とは、稼働サーバとは別に、社内の同一ネットワークや遠隔地に、もう1台サーバを設置し、リアルタイムにデータを「同期・複製」することです。
レプリケーションを実施することで、万が一、稼働中のマスターサーバー(プライマリサーバー)が破損しても、複製先のレプリカ(セカンダリサーバー)が生きていることで、事業継続が可能です。
「災害対策」という前提にたった場合、レプリカは社内ではなく「海外のデータセンタ」や「マスターサーバーから物理的に遠く離れた拠点」「クラウドサーバー事業者が運営する仮想サーバー上」などを設置先にするのが望ましいです。
レプリカも社内に設置した場合、マスターサーバーともども、災害被害を受けるリスクがあるからです。
② 万が一に備えて「ホットスタンバイ構成」を組む
そして、サーバー構成としては「ホットスタンバイ構成」がベターです。
ホットスタンバイ構成とは、マスターサーバーが障害などにより稼働停止となった際に、複製先のレプリカに「自動的」に切り替わるサーバー構成のことです。
ホットスタンバイ構成にすれば、基本的には、ほぼ「ダウンタイム」が発生しないため、可用性を低下させる心配は少ないです。
以上の通り「災害による可用性低下」を防ぐためには
① 日頃から「レプリケーション」によるリアルタイム複製を行う
② 万が一に備えて「ホットスタンバイ構成」を組む
の2つを実行してみてください。
③ サイバー攻撃
可用性を低下させる脅威 | 可用性を高める対策例 |
③サイバー攻撃 | ①レプリケーション+バックアップ+ホットスタンバイ構成 ②セキュリティ対策を実施する |
対策①:レプリケーションによるリアルタイム複製×バックアップ×ホットスタンバイ構成
サイバー攻撃による「可用性低下」のリスクに備えるためには、自然災害のケースと同様、
① 日頃からレプリケーションをしたデータのバックアップを行う
② 万が一に備えて「ホットスタンバイ構成」を組む
を講じるのがおすすめです。
なぜならば、サイバー攻撃の場合、レプリカサーバーも感染している可能性が高いため、複数世代のバックアップデータが取得できていれば、健全なバックアップデータから稼働を継続できる可能性があるからです。
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ただし、1点注意点があります。
ランサムウェアなどに感染した場合には、感染した機器のネットワーク接続を解除することを忘れないでください。
そうすることで、ほかのサーバやシステム等への感染被害を最小限に抑えられるからです
(理想を言えば、インターネットを介さない「オフラインバックアップ」がベストではあります)。
なお、万が一、ランサムウェアに感染した際には、ウイルス対策ソフト会社が提供する『暗号化解除ソフト』をチェックし、復号化できる暗号かどうか確認してみてください。
復号化できる場合には、ソフトを用いて暗号化を解ける可能性が高まるはずです。
参考にしてみてください。
対策②:セキュリティ対策を実施する
サイバー攻撃に備える場合、大前提として「セキュリティ対策」の実施が基本です。
ウイルスに感染した場合の「対応策」に加えて、ウイルスに感染する前の「予防策」を講じることで、大きな損害を防ぐことができるからです。
具体的には、以下のような対策が挙げられます。
未導入の対策があれば、導入を検討してみてはいかがでしょうか。
セキュリティ対策の例(ランサムウェアの場合) | |
電子メール | 不審な宛先から届いたメールに添えられた「添付ファイル」や「URLリンク」を開かない |
定期的なOS/機器/ソフトの アップデート | 脆弱性を突かれた侵入を防ぐために、OSや機器、ソフトウェアなどは、「定期的なアップデート」や「更新ファイル・パッチの適用」を常日頃から実施する |
ウイルス対策ソフト | ウイルスの侵入を防ぐために「ウイルス対策ソフト」を導入する |
パスワード | ネットワーク機器のパスワードは「大文字・小文字・数字・記号の組み合わせ」により、解読されないようにする |
参考:警察庁サイバー犯罪対策プロジェクト「ランサムウェア被害防止対策」
以上の通り、可用性を低下させる3つの脅威別に「対策」をご紹介しました。
参考になりましたら幸いです。
可用性を高める方法を「3つのケース別」に解説 | |
可用性を低下させる脅威 | 可用性を高める対策例 |
①アクセス集中 | 予備サーバーを導入して「負荷分散」する |
②災害 | レプリケーションによるリアルタイム複製×ホットスタンバイ構成 |
③サイバー攻撃 | ①レプリケーション+バックアップ+ホットスタンバイ構成 ②セキュリティ対策を実施する |
可用性について調べるなかで「通信サービスの『可用性』と情報セキュリティの『可用性』の違いがわからない」といった疑問を持っている方もいるのではないでしょうか。結論からいえば、両者には。以下のような違いがあります。 サイバー攻撃やランサムウェアなどの被害が拡大するなかで、企業には「機密情報の正しい保存方法」や「正しい取り扱い方」などが求められています。 そうしたなかで、注目されているのが情報セキュリティの3大要素「CIA」です。 情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格「ISO/IEC 27002」や、ISMS(Information Security Management System)において、企業が管理・保全すべき3大要素として挙げられています。 とりわけ「可用性」は「関係者がいつでも必要なときに「アクセス」できる」という意味で用いられています。以上の通り、通信サービスにおける可用性の意味(顧客に約束する「サービス品質レベル」に関わる指標)とは、若干、ニュアンスが異なることがわかります。 |
6. データのバックアップに関するお悩みはアークサーブまでご相談ください
前章でお伝えしました通り、データを安全かつ確実に保存するには「バックアップ保存」が重要です。
とりわけ企業の場合、データの漏洩や紛失などは「信用問題」に響く重大なリスクですから、細心の注意を払う必要があります。
とりわけ貴社が、
「データのバックアップにかかる手間や時間を最小限にしたい」
「万が一に備えて、データを安全かつ確実に保存したい」
「顧客向けのサービスをシステム障害などで停止したくない」
といった悩みを抱えているならば「アークサーブ」までご相談ください。
アークサーブでは、「レプリケーション」を始め、法人企業さまのニーズに応じて、優れたバックアップソフトを提供しています。
●カンタン・低価格!レプリケーションソフト「Arcserve Replication / High Availability」
出典:Arcserve Replication / High Availability
レプリケーションソフト「Arcserve Replication / High Availability」は、ほぼリアルタイムに、別のサーバにデータを自動的に複製保存できます。
なんらかの障害が発生した時に、複製先のバックアップシステムやバックアップデータに切り替わる「ホットスタンバイ構成」になっていれば、稼働状態を維持できます。
とりわけ、このソフトがもつ最大の魅力は「フルシステムシナリオ」であることです。
フルシステムシナリオの場合、名前の通り、保護対象サーバのシステムとデータ全体を「仮想マシン」として複製できます。
そのため、レプリカ(セカンダリーサーバー)に、マスターサーバーと同じ「アプリケーション」をインストールするような作業が、一切不要です。
OSやアプリケーションの「パッチ適用」も複製されるため、パッチ適用の手間もゼロです。
いつでもすぐに、本番サーバーとして稼働できます。
本商品の場合、専用サーバは不要なのも、嬉しい利点です。
稼働中のサーバに「後付け」するだけで導入できるので、非常に簡単です。
「万が一に備えて、データを安全かつ確実に保存したい」
「顧客向けのサービスをシステム障害などで停止したくない」
といった方は、お気軽にお問い合わせください。
「Arcserve Replication / High Availability」参考価格(パッケージ製品) | 9万8000円~(税抜) |
購入前のお問合せは、【ジャパンダイレクト】 | こちら |
10年以上にわたり、国内のWindows環境のバックアップソフトウェアで「シェアNo.1」/「顧客満足度96%」の実績がある当社だからこそ、お力になれる自信があります。
アークサーブ 問い合わせ先 |
【Tel】営業時間:平日 9:00~17:30 0120-410-116 【E-mail】[email protected] 問い合わせフォームはこちら |
7. まとめ
いかがでしたか。
「可用性とは何か」について、理解が深まりましたでしょうか。
ここで本記事の内容を整理します。
●可用性とは?
可用性の定義 |
可用性(Availability)とは、システムやクラウドサービス、通信サービスなどを、機器故障・災害・人的ミス・通信障害などの要因で停止することなく「稼働し続ける能力」や「指標」のこと |
●可用性はどれだけ高めるべきか?
可用性(SLA)は100%に近い値を目指すのが望ましい。
なぜならば、多くの通信サービスやデータセンター等における可用性は「99.99%以上」であるのがスタンダードであり、顧客が求める可用性のレベルも非常に高いから
●システム・サービスの「可用性」の調べ方
可用性を調べる計算式 |
(計画サービス時間-停止時間) ÷ 計画サービス時間 =可用性(%) |
●可用性を低下させる脅威3つ
・アクセスの集中
・災害
・サイバー攻撃
●可用性を高める方法を「3つのケース別」に解説!
可用性を高める方法を「3つのケース別」に解説 | |
可用性を低下させる脅威 | 可用性を高める対策例 |
①アクセス集中 | 予備サーバーを導入して「負荷分散」する |
②災害 | レプリケーションによる リアルタイム複製+ホットスタンバイ構成 |
③サイバー攻撃 | ①レプリケーション+バックアップ+ホットスタンバイ構成 ②セキュリティ対策を実施する |
本記事が、可用性とは何かについて知りたい方のお力になれましたら幸いです。
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